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2016年9月25日 (日)

オーケストラ・ディマンシュ 第42回演奏会 ガイーヌ

Dim43s
24日、オーケストラ・ディマンシュの第43回演奏会に行ってきました。

今回の演目はボロディンの二番と『ガイーヌ』(ボリショイ版からの抜粋)。何このオーケストラ・ダヴァーイにケンカ売ってるプログラムはwww でもロシアもの、ソ連ものはなんかまとめてやりたくなるんですよねえ。分かりますw

で、前回のイタリアプロも前々回のヤマトもよかったですが、今回はもうそれ以上にもっともっと良かったです! もうもうアマチュアがどうとかプロがどうのという話ではない。こういうものがいいホールで生で1000円で聴けちゃうって、むしろ恐ろしい時代がやってきたヤバイぞという感じ。

『ガイーヌ』は演奏する側も自虐的に「抜粋だけど長いw」と言ってましたが、確かに長いw 私はオリジナルの社会主義リアリズム脚本版のCDしか持ってなくて、ボリショイ版は正直聴いたこと自体初めて、というか、どうせグリゴローヴィチの通俗趣味やろと思って興味さえ持ってなかったのですが、これが意外と楽曲構成がよくて、いい意味でビックリでした。もちろん、今回の抜粋プログラムを作ったオケ側の選曲もよかったわけですが。今回は曲の間引きはしたけど組み換えはやってないので、全体の流れはボリショイ版そのものが反映されているのですけど、これがね、第三楽章を緩徐楽章とする四楽章形式の交響曲っぽい流れになっていて、なかなか感心した次第でございます。

アンコールは、ボリショイ版には入ってないけど『2001年宇宙の旅』でディスカバリー号の船内シーンで流れたアレであるアダーショと、レズギンカの爆演ヴァージョン。いやあ、いいですね、こういう爆演ヴァージョンw 「まともな演奏」もやりたい放題の爆演も、どちらもそれぞれによいものです。うまいとこキマった爆演って、「音楽って生きてる!」と実感しますもん。聴いてるほうも「生きてるぜ!」って実感できるしw 

今回は実は代表の窪田さんや広報の内山さんを始めとする団員の皆様のご厚意で、リハーサルを見学させていただいたり、プログラムの小文を寄稿させていただいたり(打ち上げでシン・ゴジラ話をしたりw)したのでした。そちらも大変楽しく、勉強になりましたです。本当にありがとうございます。

次回は来年4月9日、『パリのアメリカ人』、黛敏郎『饗宴』、そして幻想だそうです。そういや今秋から冬にかけて、複数のアマオケが幻想やりますね。なんかキてるのか?! それはもちろんいいんですが、ディマンシュの皆様、その次は是非、伊福部昭をお願いしますw

2015年12月31日 (木)

信じるか信じないかは、あなた次第です!

ロシアでTVドラマシリーズ化された『白痴』(2003年、ウラジーミル・ボルトコ監督)を見ていると、ガヴリーラ・イヴォルギンが、なーんかこの人見たことあるなあ、という気がしてならなくなる。

で、「やりすぎ都市伝説」を見ていて気がついた。

この人だwww

20151231


左がアレクサンドル・ラザレフが演じるガヴリーラ・イヴォルギン、右が関暁夫。

ラザレフは普段からこういう感じの俳優ではない。何故この髪型! 何故このメイク!

関暁夫って、けっこう若いころからこの路線だったらしいのよね。きっとラザレフ監督は関暁夫が気に入って、自分の作品に取り入れたに違いない!

信じるか信じないかは、あなた次第です!

それどはよいお年をお迎えください。

2015年10月 9日 (金)

発売:書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国

またちょっと体調的にアレな人になってしまい、盛り上がってたくさん人が来た発売日に新しいエントリをupしていなかったという体たらくとほほ。まあ救急車も来てないし緊急入院にもなってないのでご心配なく~。

9784309414072てなわけでいろいろありましたが、『屍者たちの帝国』、発売になってございます。私は期待されているであろうドストエフスキーネタを「やりたい放題」で「爆走」し「本書収録作品の中でももっともオタク度の高い作品」(大森望氏談w)にした「小ねずみと童貞と復活した女」を書いています。なんじゃこりゃのタイトルは、ちゃんと読めば分かるようにしてございます。「小ねずみ」なんて、あまりにも辻褄が合いすぎてて自分でも笑っちゃいますが。

私のを読んだ人はすでにかな~りウケてくださってるようで何よりw 『白痴』+『アルジャーノン』とか、『白痴』+『ドウエル教授』って、やってみたかったんだよお~! なので、この企画のお話が来た時、最初は「さすがにこれだけ縛りがきついとな~。断っちゃおうかな~」と思ったものですが、次の瞬間、ワタシの無意識が「アレができるぞアレが! コレもできるじゃん! いやいや、ソレもできるし!」と叫び、茨の道を行った次第です。短編一本のために読み返す他人の小説や映画がむちゃくちゃ多くて(いやさすがにキャプテン・フューチャーは全部は読み返しませんでしたけど)、これが一番キツかったです。『屍者の帝国』も読み直したし、よりによって映画にはタルコフスキーが二本w 『ドウエル教授の首』は若い世代でも知ってる人が多いようで、ナスターシャが復活した時点で『ドウエル教授』のブリケだと気づく人が案外いるようです。そうかみんなけっこう知ってるのかw 昭和のSF少年少女だけかと思ってたよw あと、「液体窒素」が出てくる前にロゴージンとナスターシャの生活が『ソラリス』のケルビンとハリーのネタだと気づく人もいましたね(ちなみに1870年ごろには窒素はすでに液体化されていたので、意外なところで嘘じゃない罠)。そうです。バルト海の描写と、ロゴージンとナスターシャの会話は沼野版『ソラリス』のまんま引き写しです。気づくのか……お前……オタクだなあw 

痛恨だったのは、霊素と魂と知性の関係はオリジナルだったのですが、そこに気づいてもらいにくいこと。どうもこれも何か元ネタがあると思われちゃうようで。あと、『白痴』と『サクリファイス』の考察はかなり真面目にやってるんですが、みんなこんなのスルーだよね。『サクリファイス』の冒頭では、主人公が役者だった若い頃にムイシュキンを演じていて云々というくだりがあり、私はこれが『サクリファイス』解釈の要だと思っていたのです。まあ、基本、ネタとストーリーでウケていただければそれでいいっす!

一足先に来た見本を読ませていただきましたが、こんなに縛りのきっついアンソロジーでも、個性って隠しきれないもんですねえ。どういう読書傾向の人が読んでも、必ず自分なりのベストが見つかるかと思います。とにかく今年後半のマストバイ。いや本当、買って損はないです!

2015年9月 8日 (火)

予告:『書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国』

もう公にしていいって言質を担当者から取ったのでw 

河出書房新社から、大森望・編『書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国』が刊行されます。お招きいただいて書いてまいりましたよ。NOVAに関しては、10年近く「書く書く詐欺」をしてきましたけど、ついに本当に書きましたw 大森さん、長い間すんませんでした。

内容は、タイトルで「おおっ!」と思った方は多分そのまんま当たり。伊藤計劃さんの未完の遺作『屍者の帝国』(円城塔さんが構想を引き継いで2012年に刊行)の序章だけを共有して書かれるシェアード・ワールド・アンソロジーです。私が把握している限りでは、宮部みゆきさんや山田正紀さん、藤井大洋さん等、ベテランから新星までけっこうなビッグネームが揃っています。

私は、いかにも私に期待されている的な『白痴』の「その後」をフィーチャーしてみました。もちろん、「読まなくても分かる『白痴』」つきw 『白痴』に混ぜるなら絶対アレだろうというアレと、私の世代のSF少年少女の大トラウマ小説のコレ、そしてネタの宝庫のソレをリミックスして、『マトリックス』と『ブレードランナー』経由で明後日の方向にぶん投げます。『白痴』とアレの合体は十代の頃からやってみたかったのですが、ついに本懐を遂げました。乞うご期待。

配本は10月2日予定。著者校はもう終わってるので、気楽に他の方の作品が読めるのを待つばかり~。なんかトークイベントとかできるといいですよねえ。

2015年8月 1日 (土)

冷夏

ものごっつ風邪をひいてしまいました。あっという間に細菌感染の段階に入ってしまい、声もガサガサです。体調が悪すぎて危うく病院に行けなくなるかとw シャレにもならん。幸い肺は無事だそうで、そう聞くと急に治ってきた気がするから不思議だw まあ病は気からと申します故、治癒も多少気安めなところあるでしょうねえ。がんばれ抗生物質! がんばれ俺の免疫力!

ところで、なんかペテルブルクはめっちゃ冷夏らしいで。毎日雨ばかり降ってる様子。もともとペテルブルクは晴れにくいところではあるのですが、北極圏生まれで十年以上ペテルブルク在住の友人が嘆くくらいだから、かなりヤバそうだ。「もう夏も半分以上終ったのにこんな天気で……(泣)」だそうだけど、夜になってもなかなか30℃を下回らないサウナ板橋区にいると全然想像できません。東京なんか、こんな夏がやっと三分の一ほど終わったったところだよ~(泣)。ヨソの冷夏なんて、冥王星の観測結果と同じだ……

ここで本当にオリンピックやるんでしょうか? ていうか(いろんな意味で)できるのか? とりあえず皆様も夏風邪にはお気をつけくださいdanger

2015年7月27日 (月)

 『ミステリとしての『カラマーゾフの兄弟』』救出作戦

6月後半、「東洋書店が経営破綻して在庫もいきなり全処分」という連絡が井上のところに回ってくる。東洋書店はユーラシア・ブックレットをはじめとしてロシア関係のいい本を出してる出版社だったが、どうもギョーカイ内の話では、「司法試験の参考書とかそっちがダメになっちゃったらしい」とのこと。

話が出回ったとたん、ネット市場では東洋書店のロシア関係書籍がめっちゃ高騰。暗躍するせどり屋。寝耳に水の著者たち。出版社が破綻することは往々にしてあるものだが、読者側がこれほどパニクった例は珍しいと言う人もけっこういる。江戸の歴史地図などで知られる人文社が破綻した時もこれほどじゃなかった気が。それだけ東洋書店が必要とされていたということなのだ。

井上とは、これでわしらの著作も「過去のもの」になっちゃうねえと話していたのだが、ここへきて一条の光が。

私の『ミステリとしての『カラマーゾフの兄弟』 スメルジャコフは犯人か?』は、もしかしたら救出できるかもしれない。直接の関係者は協力的なのだが、オトナの事情、要するに「上の人」の許可をとらないといけないので、まだ確定ではないのだ。

いや~、でも東洋書店がこんなに危ういと知っていたら、『ミステリとしての……』はユーラシアブックレットでは出さなかったなあ。もうちょっと文章を増やして新書のお話に乗ったか、逆に減らして『カラマーゾフの妹』の文庫版のオマケにつけたのに。

電子出版もネット掲載も思いのままな今日、「世に出す」こと自体には全然意味がない。「信頼性の高い出版社から出す」ということの意義は昔より高まっている。だからこその東洋書店チョイスだったのに~。あの本もこの本もまだ買ってないのに高騰して手に入らなくなってしまった。一冊でも多く、他の書店さんが救出してくれることを祈る。

2015年3月 4日 (水)

ソ連宇宙飛行士マトリョーシカ

ロシアに行っていた井上が週明けに帰ってきた。どこに行っていたのかというと、毎年恒例、モスクワ郊外のロシア国立映画保存所の映画祭。映画祭と言ってもスターがレッドカーペットの上を歩くような華やかなやつじゃなくて、少数の映画研究者だけに招待状を送って、モスクワから電車で一時間かそこらの映画保存所=一つの村という隔離環境で行われる、激しく地味な秘密結社みたいなに映画祭だ。私は「隔離軟禁映画祭」と呼んでいる(正式名称のロシア語が覚えきれないっちゅーのもありますけどw)。

例年、一月末に行われていたのだが、去年はソチオリンピックに押し出されて二月末の開催になった。そしてどういうわけかそのまんま今年も二月末開催。よく分からん……ロシア……

で、うちは二人とももうすっかりスレてしまってロシアのお土産にはあんまりわくわくしなくなっているのでございます。私に至っては、夫のお土産センスにも警戒感を抱いている。何しろ去年はこんな事案も発生してるもんでw 

が、今年は奇跡が起こったのだ! こんなのを買ってきたのである。

20150304ソ連宇宙飛行士マトリョーシカだ。

背景のプラトークの柄がうるさくて申し訳ない。被写体を邪魔しない落ち着いた色柄を求めて紬の着物を広げたらものすごくヘンだったもんでやめましたsweat02

外からガガーリン→チトフ→レオーノフ→テレシコワ→CCCP(しーしーしーぴーじゃなくてえすえすえすあーる)と書かれたロシアン末広がりロケット。ガガーリンの足元に書かれているのは「ヴォストーク」。ガガーリンがちょっとゆるくてすぐパカっと開いてしまうのが難点だが、まあロシアっぽさを感じさせると言えなくもないcoldsweats01

うちにはこの他にもテロリストマトリョーシカとか、耳つきチェブラーシカマトリョーシカとか、まともでないマトリョーシカがいくつかあるので、ちゃんと写真に撮って公開したい。なんですけれども、私の撮影センスの問題があるので、もうちよっと時間を下さいsweat01

2015年2月16日 (月)

シャネル№5の謎

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大野斉子(おおの・ときこ)さんの『シャネル№5の謎』(群像社)をいただきました。何年か前の東大での公開講義でこのテーマを扱われ、いつか著作にまとめたいとおっしゃってましたが、それが実現したのですね。おめでとうございま~すhappy01up

香水の歴史について書くのは非常に難しい。まず何と言っても、美術やファッションなら図版でかなりの程度「モノ」を示せるが、香水はねぇ……いくら華々しい図版を載せたところで「モノ」が何なのか全然伝わらない。すでに香水に興味があって、フロリエンタルとかフゼア調とかゲラン系というよりキャロン系とか言えば「ああ、こんな感じね」とイメージできる人にしか伝わらない。これはもうどんなに優秀な書き手でも克服できない根本的な問題なので、まあ……諦めるしかないっす。音楽とかコーヒーとかワインだってそうだしね。そして、大まかに言って①香料・化学、②ファッション、モード、③歴史のそれぞれに知識がないと語れない。たいていの香水についての本は、③がテキトウ。これは海外の本でも同じ。ワタシ的には、どうせどれも揃った本なんていつまで待ったって出やしないさ~、とすでに諦めモードだった。ならお前が書けって? まあ確かに私は三つのジャンルすべてにまんべんなく知見があると思うが、まんべんなくたいしたレベルではないので話にならない。coldsweats01

なので大野さんの単著には期待していた。何しろ、ロシア語の一次史料をフィーチャーした香水史なんて、少なくとも日本では前代未聞ですもん。アメリカやヨーロッパでもロシア語が分かる香水研究家なんてどれだけいるだろう。

結論から言うと、研究としては素晴らしく、書籍としてはまだ出版のレベルに達していない、と言えましょうか。看過できない問題が大中小存在する。大は章立て。第二章~第四章で扱っているのは、主に①香料・香水全般の歴史、②ロシアにおける香料・香水の歴史、③香水の使用者や社会的位置づけ、生産量に関する統計的、社会史的考察(「からだ」や「におい」に関するアナール派的研究への言及含む)、④ラレ社とブロカル社について、⑤ロシアの芸術(特に文学)に現れるにおい・香り・香水についてということになるだろう。が、第三章と第四章で②と③がかなりの重複を含んで繰り返され、⑤への言及が多すぎてそもそものテーマがかすんでしまっている。章立て自体を見直すべきではないだろうか。

中は記述の重複が多いこと。すでに何度も言及してきたことを、まるで初出のように説明調に言及し直すのはいかがなものだろうか。歴史一般や文学についての部分はちゃんと流れるのだが、調香師エルネスト・ボーとラレ社についての部分は、大事なことだからとつい念を押したくなるのかもしれないが、これを何度も何度もやられると、かえって重要な情報が頭に入らない。ことに第一章がひどい。ここで挫折する読者も多いのではないかと心配になる。

小は固有名詞の表記。原音に忠実に、と思ってしまうのだろうけど、すでに定着したカルサヴィナ(なしいカルサーヴィナ)、シャリアピン、カンディンスキー、ネヴァの表記をいちいち「コルサーヴィナ」、「シャリャーピン」、「カンディンスキイ」、「ニーヴァ」と表記するのはあまりいいことではないのでは。でもなんでカンディンスキーは「カンディンスキイ」なのにドストエフスキーは「ドストエフスキー」なんだろう……。Гостиный дворはなんで「ゴスチーンヌイ・ドボール」なんだろう……。綴りは「в」なのだから「ドヴォール」では? 本書では「ヴ」表記そのものは採用しているはず。原語に忠実というのなら、フランス語もcypreは「シプレー→シープル」、Crêpe de chineは「クレープ・デ・シン→クレープ・ド・シーヌ」、Antoine Chirisは「アントワン・シリス→アントワーヌ・シリス」と表記していただきたい。香水の名前に「」がついてたりついてなかったりするのも気になる。

そして一見些末なれど爆弾級の問題は、史実の誤認(p.268)。シャネル№19はエルネスト・ボーの作品ではない。彼の死後、1970年にパルファム・シャネルが発売したアンリ・ロベールの調香による作品だ。これは『白鳥の湖』をグラズノフの作品と言ってしまうのと同じくらい大きな間違いなので、増刷を待つまでもなく、訂正の紙を入れてください>群像社

個人的な不満を言えば、第二次世界大戦前後の歴史にも多少なりとも触れてから本書を締めくくってほしかった。パルファム・シャネルは№5の後、大戦中にユダヤ商人と商標でモメてナチスにすり寄った大黒歴史があるが、この間、ボーはバムファム・シャネルに在籍している。亡命ロシア人ボーがどのように身を処したのかは、彼の生涯を語る上では欠かせない部分なのではないだろうか。こういう大事なところをさくっとスルーしちゃうあたりも、史学の人間としてはひっかかる。著者はそもそも文学研究が専門なのは分かるのだが、歴史について書くと決めた以上、もうちょっと何とかしてほしい。

余裕があれば、やはりソ連からの亡命者である現代の名調香師ソフィア・グロスマンにも言及してくれたら嬉しかったです。以前大野さんにお目にかかった時にグロスマンのことはお話ししたので大野さんも知らないことではないと思うけど……。その他にもスラヴ語の名前を持っている調香師はけっこういるので、彼らのうちにロシア帝国・ソ連の出身者がいれば、それについても研究して欲しかったです。そういうところに目が行きとどいていたらスゴイ本になったと個人的には思ったり……

重複や余分な部分を整えれば、三割程度は量が減るが、その分論旨は明快になる。固有名詞等、シロートにも一目で分かるところに問題があると、「この本、我々シロートには分からないところも実はごまかしだらけだったりしないのだろうか」という不信感を読者に与えかねない。どれも克服できないほど致命的な問題ではないはず。私が姑根性であれこれあげつらっているように思えるかもしれないが、こういうチェックはまともな研究書には絶対に必要なことで、出版前にすべきことなのだ。群像社の島田さんの仕事だ。せっかくいい内容の本なのだから、ちゃんと仕事してよ島田さん! 大野さんの業績として一生残る第一著作がこういう形で世に出てしまったことが悔やまれる。ああ……タイムマシンがあればなあ……orz

付記:あ、そうだ、ラレ社の帳簿を調査したらラレ№1の配合の手がかりになるかも。香料や化学薬品の購入量を調べるわけですよ。この間『マッサン』でも「帳簿を見とったらウイスキーを作ってるだろうと分かった」っていうセリフがありましたね。帝政ロシア時代の奢侈品の会社の帳簿なんて残ってないかなあ……。でもいちおう存在確認の調査をする価値はあるのでは。

2015年2月 2日 (月)

日本・ロシア活字文化比較講話 (クセニア・レシチェンコ)

想定外のレベルの低いぐだぐだ話でがっかりでした……。日露友好という趣旨で何かイベントをやるのはいいんですが、それだったら会員の中だけでお茶飲み話でよいのでは。まがりなりにも「講話」と銘打って外部の人も有料で入場させる以上、最低限のレベルは確保しないとダメでしょう。

日本・ロシア活字文化比較講話
講師:クセニア・レシチェンコ 法政大学国際日本学インスティチュート博士課程

結局、「活字文化」についての話はほとんどなく、日本の電車内や図書館のポスターが「マンガ的でビジュアル重視」であるところをあげつらったり、マンガは娯楽的だからダメ、みたいな方向に流れる。話を聴いている限り、彼女はそもそもマンガの「読み方」というものを知らない。私は今までオタクのロシア人と何人も会ってきたけど、マンガの読み方をちゃんと分かってる人ばかりでしたよ。このレシチェンコさんみたいな人は決してロシア人の感性の平均ではないと思う。ロシアと日本の感性の違いの問題ではなくて、彼女は絵画的なものから情報や情動を読み取る力が極端に弱い人であると感じた。

「将来の夢はロシアで江戸の文学についての講義を持つこと」と言うが……現在、江戸時代を代表する「文学」と受け取られているものの多くが戯作か芝居の台本だよね。今でいうマンガやアニメに相当する大衆娯楽。現代のビジュアル重視大衆娯楽は否定して、江戸時代のビジュアル重視大衆娯楽は称賛するというダブルスタンダードについてはどう思っているのだろうか(質問はしたけど、自覚がないらしく話はかみ合わず)。大衆娯楽に対する軽蔑感を持った人が、果たして江戸の文化のどこに魅力を感じているのだろうか。

ロシア・ソ連にはもともと、「子供向けの娯楽」のフリをして社会風刺をやるという高度なワザがある。一見しょうもない荒唐無稽な戯画を通じて二重、三重の意味をやりとりする感性には長けているはずである。それを考えると、彼女の感性の偏りはなおさら危機感を感じる。まずその偏りや未熟さを自覚するところから始めないと、研究者としては立ち行かなくなるだろう。まだ若いうちにもっと厳しい研究環境に身を置いた方がいいんじゃないかなあ。今は多分、「日本語が上手なカワイ子ちゃん」というだけでチヤホヤしてくれる人が周囲にたくさんいるのだろう。いわゆる「下駄をはかせる」ってやつ。北大や東大にはロシアから恐ろしほど優秀な留学生が来る。そういう人たちの間で厳しく自分を省みないと、ほんとにただの「日本語が上手なお嬢ちゃん」から「日本語が上手なおばちゃん」になって終わっちゃう。他人事ながら心配でたまらん。

2015年1月14日 (水)

ロシア航空宇宙軍!

ロシア、2015年に航空宇宙軍創設

  ロシアは2015年、空軍と航空宇宙防衛軍を合体させ、航空宇宙軍を発足させる。火曜、ワレーリイ・ゲラシモフ参謀本部長官が発表した。
  発足は2016年と言われていたが、前倒しされた。また、宇宙機器や最新式レーダーを使ったミサイル攻撃早期発見警戒システム構築に向けた作業も続けられるという。

一瞬中二病かと思ったw まじめな話でしたか……

よく考えると、歴史的に「空軍」って立場が微妙だよね。飛行機がメジャーな平気でなかった時代には陸軍や海軍の一部門で、技術が進んで航空と宇宙が接近してくると、やはり航空宇宙軍にならざるを得ないかも。

ちょっと萌えのある名称だw

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