デビュー25周年と『日本SFの臨界点』
……というわけで、私、高野史緒は、明日でデビュー25周年となりました。長かったようで短く、短かったようで長いこの四半世紀、命を長らえてきたのも、ひとえに読者の皆様と、支えて下さる出版関係者の皆様のおかげです。本当にありがとうございます。これからもデビュー当時の初心を忘れないよう、よりよい作品をお届けできるよう、精進してまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。
という記念の節目に、ちょうど、こういうアンソロジーが出ます。伴名練さんの編纂による『日本SFの臨界点』の恋愛篇と怪奇篇。恋愛篇のほうに、私の古い短篇「G線上のアリア」が収録されています。これは『カント・アンジェリコ』の番外編としてSFマガジンの1997年2月号に掲載されたもの。『カント・アンジェリコ』と合わせてお読みいただければよりいっそう楽しめるかと思います。
今回のアンソロジー、レアな傑作ぞろいなのも読みどころですが(そこに含めていただけたのは光栄の至り以外の何物でもありません)、伴名さんによる解説と読書ガイドがまたスゴイのです。各作家にレア情報を盛り込んだ、今までどこでも読んだことのないような解説がついていて、もうそれだけでも「買い」。私についての解説でも、今までどこでも言及されていなかった九ハヤカワSFコンテストのことが盛り込まれていたので、ゲラが回ってきて気絶しそうになりました(笑)。私のデビュー前のことについてはこれまでも質問されることが多かったので、今回これを機に、それについても掲載していただくことにしました。いやあでもなんか恥ずかしいっすね(笑)。
それにしても、伴名さんの読書量と情報整理力がスゴイ。彼のあの洞察力と語彙力は、こうした時代、範囲共に広範な読書に基盤があるのがよく分かります。小説もスゴイけど、その他のいろいろもスゴイ人。日本SF界はスゴイ人材を得たんだなあと改めて感服しました。
で、私の今後ですが、今出版待ちの長編が一つ、執筆中の長編が一つあります。今月末には、あるところでAI短編を一つ発表しますが、これについてはまたのちほどお知らせします。相変わらず遅筆ですが、どうかお見捨てなくお付き合いくださればありがたく存じます。
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