まず、池澤さん、名前出してごめんなさい。でも、曖昧な書き方をするとかえって中傷を煽ってしまうかもしれないので、あえて実名で。
どうしてもどうしても私にこの問題について発言させたい、聞きたいという方々がいらっしゃるようです。なので、別にやましいことは何もないので発言させていただく。
以下、あくまで私見であって、日本SF作家クラブの公式見解でもなければ総意でもないので、そこんとこ誤解のないよう。
大森望さんの入会リジェクトに端を発したSF作家クラブ周りでのアレコレで、何故か突然やり玉に挙げられてdisられまくったのが池澤春菜さん。「作家クラブ」と名乗りつつ、何故作家じゃない人たちも入っているのか、特に、なんでタレントなんか入れてんの? ただのSFファンでもタレントっていうステイタスがあれば入れちゃうの? ナニソレおかしくない? というのがその論旨のようです。
私としては、日本SF作家クラブに作家でない人が入るのはアリ、池澤春菜さんが入るのもアリだと思っています。
以下、その論拠を。
「日本SF作家クラブ」というのは、確かに「『作家』クラブ」を名乗っている。小規模に仲間内の面子で発足した当時の状況を伝え聞くかぎり、まあ確かにその状態だったらそういう名称にするよね、と何の疑問もなく思える。
しかし月日が経ち、SF大賞という文学賞を設立し、SF大会内でのイベントや、アメリカのSF作家クラブとの交流、出版、二度にわたる国際シンポジウム等の活動を経て、かつては私的な親睦記団体だったSF作家クラブも、社会の中で一定の役割を担う公的な性質を持つようになってきた。
私的な親睦団体だった頃は、『酔っ払うと珍妙な言動をする星新一により、入会資格に「死んだ人はダメ」「宇宙人はダメ」「馬はダメ」「星新一(178cm)より背の高い人はダメ」「筒井康隆よりハンサムな人(定義不明)はダメ」「小松左京(自称85kg)より重い人はダメ」などの珍妙な条文が盛り込まれた』(Wikipedia 経由で 小松左京「落語とSFの意外な関係」asahi.com 2006年8月11日引用)。例の騒動以来、なんかこれを持ち出して「こんなふざけた会」みたいな感じで取沙汰してる人が複数いるけど、ほんとはみんな分かってるよね? 物事の黎明期って、一方で命をかけるくらい真面目に取り組みながら、もう一方でこういうバカネタをやりがちだってことは。ロケット開発の黎明期に、コロリョフもフォン・ブラウンも「エンジン積んだ弾丸みたいなもので宇宙行くとか、頭おかしいの? バカなの? 死ぬの?」という勢いでdisられてた頃、彼らロケット開発者たちは宇宙での生活や宇宙人と遭遇した時のアレコレとかで冗談を言い合っていた。それと同じ。ほんとはみんな分かってるよね? 今現在の問題を真面目に論じる際、上記の「会則」に言及するのは、適切ではない。ほんとは分かってると信じたい。
そういうおもしろネタをやってても「まあいいや」と思われた頃から半世紀、会の規模が大きくなり、SFというものが世に普及、浸透し、会にもそれなりの歴史と期待が伴うようになって、その性質が変化しないわけがない。「SFの普及、発展」は作家だけが担う使命ではない。現状で実態を反映するなら『SFクリエイターズ・クラブ』等が適切かもしれない。しかし、発足時の歴史を反映した名称をあえて残すことは問題ないと思う。「名前が『作家クラブ』なのに作家以外も入ってて云々」というのは、意味のない発言であろう。別に、名称に実態が縛られる必要はない。「発足時の歴史ある名称を残しつつ、現状に即したメンバーで現状に即した活動をしている」だけなのだから。
フリー・メイソンだって、もうとっくに石工のための団体じゃないじゃん。でもその歴史や経緯を名称に残してるわけでしょ。フリー・メイソンはそれでいいけどSF作家クラブはダメって何だよw 世界中で「ダービー」をやってるわけだが、それも名称に歴史と由来を反映しているのであって、英国ダービー市でやってるわけじゃなくたって何の問題もない。ちなみに、我が母校お茶の水女子大学は、一度たりとも御茶ノ水にあったことはありません!w 御茶ノ水にあったのは戦前の女子師範学校。戦後、大塚に移転して新制大学になる時、歴史と経緯を名称の中に残すために「お茶の水女子大学」になったのさ。いや、私も今までに多分百回くらい「ええっ?! 御茶ノ水にあるんじゃないの?!」って言われたけどw いやまあ、もっと正直に言うと、私も御茶ノ水にないってことは願書を取り寄せて初めて知ったんですけどねw ほっといて下さいw
……ま、まあともかく、そういうわけで、日本SF作家クラブというのは、そういう名称のSFクリエイターズ・クラブなのだと思っていただければ分かりやすいのではないかと思う。そこに小説を書く人だけではなく、漫画家や評論家、映像作家、イラストレーター等が加わっているのは不思議でもなんでもない。そこにパフォーミング・アートの人が加わっていて何の不思議があろうか、と私は思う。むしろ、俳優や音楽家などがもっと加わっていてもいいくらいだと思っている。これが、私が池澤春菜さんが所属するのは(積極的に)アリと思う理由である。
パフォーミング・アートにおいてもSFマインドって重要だと思うけどね。池澤さんは「SF好きを自認して著作もないのにSF作家クラブに入りこんだ芸能人」ではなく、「パフォーミング・アートという形でSFをクリエイトし、SFの普及、発展に貢献する人」だ。これが私の見解である。
なのでどうか、池澤さんをあげつらうのをやめていただきたい。
以上、私の意見を聞きたい方々、これでいいでしょうか? 私にメールやコメントを下さるのはよいのですけど、第三者の中傷はしないでね。お願いします。
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