あけましておめでとうございます。そもそも年賀状というものを作っていないので、各方面にはご迷惑をおかけしております。まあ相変わらずこんな感じではございますが、今年どうかもよろしくお願いいたします。
年末から乱歩賞応募者と思われる検索来訪者がどどーんと増えてきたので、ちよっとその方面のお話を。
私は『カラマーゾフの妹(当時の作業用仮タイトルA Sister of Karamazov)』を執筆している時は、執筆自体に集中していたので、もし乱歩賞を取ったら、とか、取れなかったら、とか全然考えていなかった。応募することは夫にしか言っていなかったし、本当に作品そのものに集中していたように思う。けど、さてもう一回読み直してプリントアウトして……という段階になった時、初めて迷いが生じた。
リスクは大きいですからねえ。落ちたら何言われるか分かんないし、受賞しても何言われるか分からない(実際いろいろ言われた)。まあ最終選考まで行って落とされたのならまだしも、一次とかで敗退したら……いやいや、さすがにそんなことはない作品のはず、でも……ガチ勝負のコンペティションに「絶対」は無い、何が起こるかは誰にも……いやしかし、少なくとも最終選考まではいく作品のはず、しかし……とプリントアウト直前にぐるぐるし始めたのだった。それが2012年1月27日の夜。をいをい、この期に及んで……という感じだが、ほんとにぐるぐるしちゃったのだった。
別ペンネームで応募するという手がないわけではない。落ちたら知らないっぷりしてほとぼりが冷めたら付き合いのある出版社に見てもらえばいいや~、というテもある。が、別ペンネームで受賞してから正体が発覚したりしたら読者さんに不誠実ではないだろうか。それだったらたとえ最終選考の手前で落とされようとも正々堂々と本来の筆名で戦ったほうがよほどましであろう。私の球種はストレートしか無いので、やはりストレートで勝負する……っていうかそもそも応募するべきなのか……
とやっているうち、お風呂から出てケータイを見たら、なんと、亀山郁夫さん(言うまでもないですが、新訳『カラマーゾフの兄弟』の翻訳者ね)からの着信があった。
後で確認してみると、別に用事があったわけじゃなくて、酔っ払って電話しただけだという。
普段からこういうことをする人だったら驚かないが、(少なくとも私に対しては)こんなことは初めてだったのでビックリ。もちろん亀山さんに乱歩賞応募のことは話していないし、夫は良く言えば口が堅い、悪く言ったら面倒くさがりとか、場合によっちゃ気が利かないとか、いくらでもヒドイ言い様ができる人なので(ごめんw)、亀山さんにチクったりはしていなかった。
それで? ええ、プリントアウトして応募しましたよ。これは行けという「サイン」だと思ったので。
そして今日に至る。
今現在、応募を迷っている人はけっこういると思う。確かに、場合によっては今年の応募を見送って来年、再来年に持ち越したほうが、タイミング的にも有利になるかもしれないし、見直した原稿が格段によくなることもあるかもしれない。実は別な賞に応募したほうが未来が開けるという人もいるだろうし、小説なんかよりもっともっと未来が開ける別な運命を持っている人もいるだろう。逆に、今だからこそ乱歩賞に向かえ!迷うな!という段階に来ているのに迷っている人もいると思う。でも、もしそれが本当に真剣な思いなら、どうしたらいいか、運命は何らかの「サイン」を送ってくれるのではないかと私は信じている。
自分の運命と、その運命がくれるサインを是非、信じてほしい。
ところで、「ダ・ヴィンチ」二月号が発売になりましたが、これに『デッド・オア・アライヴ』の記事が載っております。本体に解説の類がまったく無いので、この「ダ・ヴィンチ」の記事を解説代わりにしてくらさい。面倒ですみません。解説もまえがきも何もないのは読者さんに対してあまりにも不親切だし、体裁としても良くないし、アンソロジー作る系の人としてはものすご~く不満。もうタダ働きでもいいから見開き二ページほどのまえがきを書かせてほしかった……
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