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2013年3月31日 (日)

訃報:殊能将之さん

覆面作家・殊能将之さん死去…「ハサミ男」

多少早めに情報はいただいていましたが、本当かどうか疑っているところはありました。が、複数の報道が出て、直接面識のある方々からも証言があったので、本当でした。私は直接の面識はないし、殊能さんの佳き読者でもなかったけれど、でもとてもショックです。

ここ数年、作品は発表されていなくて、軽々しく「一発屋」とか「枯渇した」とかの言葉を使う人もいましたが、私は、作家が寡作であることや活動が間歇的であることは肯定的に考えているので、殊能さんは応援したかったですね。

というか、もし人生の一時期しか執筆しない作家(とか漫画家とか作曲家とかetc.)がいたとしても、それで何が悪いのか、と思う。特に、実験的な作風のクリエイターの場合、突発的に創作の神からお召しがかかって短い時間に燃やし尽くすように活動する人がいてもおかしくないのではないだろうか。私は一発屋自体にはものすごーーーく批判的だけど、それと短期間に燃え上がるように活動することや、作品発表の間隔があくことはまったく別だと思っている。世の中、「文筆で食ってゆく」とか「年に何冊も本を出す」のがなんだか必要以上に「偉い」ことになっちゃってて、こういう量とかカネとかランキングでしか小説を語らない風潮を見直さないと、小説ってほんとに退化すると思うことです。

死因等に関して報道に出ていない情報もちらほら入ってきていますが、私は憶測と事実を区別する根拠を持っていないので、もっと確実な情報源の方が故人の尊厳を損なわない程度に言及して下さるのにお任せします。今はただご冥福をお祈りするばかりです。

2013年3月25日 (月)

連ドラ『カラマーゾフの兄弟』最終回

……………………。

そんなラストでいいのか?! 

23日、フジテレビの連ドラ版『カラ兄』が最終回を迎えましたが、正直、2、3回前から感じていたヤな予感的中orz 時間的にはけっこう余裕があっので、最後の2回は裁判になると思ってたんだけどなあ。まあ確かに、現代の捜査力だったら、あれで満が有罪になるのはムリだとは思うけど(そのわりにベタな物証が出てきましたが)、これじゃ何のためにわざわざ『カラ兄』を原作にしたドラマを作ったのか分かんなくなるじゃないですか。

事件が起こるところまでは「おお、実はけっこうな名作の予感か?!」と思ってたんだけど、その後失速。「大悪人VS団結して助け合う実はみんないい人の被害者たち」という構図に矮小化してしまった。久留美と加奈子が妙に慣れ合ったあたりで「むしろこれは裁判のカタストロフの前振りか?!」と期待しないでもなかったけど、残り時間を考えるとそれは無いだろう、いやでももしかしたら……と最後まで希望をつないだものの、あのラストか……

何故あそこまで登場人物たちを「いい人化」しなきゃいけなかったのかが全く分からない。まあ何というか、世の中の「いい人化圧力」ってかなりのものがあって、芸能人も一般の人もドラマの中の犯人役さえ、最近は「本当はいい人」じゃないと許されないような風潮は感じる。人付き合いでも、「できるだけ欠点をなくする」ことが至上命令になってて、何かというと「社会人として当たり前」とか「大人なんだから○○すべき」という圧力がやたらとかかる(このへんはネットの相談サイトウォッチャーの人が詳しい)。なんかそういう風潮に屈したのか自ら迎合したのか……『カラ兄』の裁判の混乱とどんでん返し、次男が引きずる罪悪感という、ドラマ的に一番美味しいところまでも自ら放棄してしまったのは何故なのか? そこまでして「みんないい人」にする必要があったのか?

なんかもう愕然でございますよ。

2013年3月19日 (火)

サイト不調 臨時入口

ホームページビルダーのせい(と私は思っている)で、トップページが消し飛んだまま更新できません。友人がFTPをアレしてナニしてと教えてくれたんですけど、その作業、いつできるんだ>自分。HTLMもFTPも覚えなくて済むと思ったからホームページビルダー買ったのに……。というわけで、とりあえずこちらのページからお入りください。

http://homepage3.nifty.com/takanosite/BooksKaramaozov.htm

原因がはっきりしないことには『ヴェネツィアの恋人』のページも作れず……

当面、このエントリは最上位にあげておきます。

は~(ため息)。

*3月20日追記:直し方判明。復帰しました。やっぱりホームページビルダーのせいだった……orz 設定は以前から何もいじってないはずだったのに。

 http://homepage3.nifty.com/takanosite/

2013年3月15日 (金)

『カント・アンジェリコ』文庫版

Bookca2
ええと、本当にいつも愉しくブログを拝見させていただいておりますという皆様はとうにお気づきかと思いますが、新しい短篇集が出るということでじゃなくてもうとっくに出ております。2月にそう書いたぢゃん。まあ、いつも愉しく拝見していただくほどのブログでもないんで、いつも愉しく拝見してるふりなんてしなくてもいいのにねえ。ま、いちゃもんつけたい時だけ見てくださっても全然構いませんよ。誰に言うともなく。『ヴエネツィアの恋人』は「発売中」でございます。

で、以前ちょっとだけ言及しましたが、『カント・アンジェリコ』の文庫版、本日発売になりました。帯なしの画像でちょうどいいのが手元にないんで、ちょっと赤面な帯つき画像で。解説は小谷真理さん。あらゆる意味で「この人しかいない(鼻息)!」という人選。ひじょ~にお忙しいところを引き受けていただいてありがとうございます(平伏)。

イラストは『ヴェネツィアの恋人』に引き続き佳嶋さん。表紙どうしましょうかねえと担当の方とあれこれ案を出していた時、短編集のほうがそろそろ書影を公開してもいいくらいになってきていたので、佳嶋さんのことをお話ししたら、おおお、この方良いですね!ということで、続けてお願いすることになったのでした。今、皆川博子さんの『少年十字軍』も佳嶋さんのイラストなんですよね。てことは今、佳嶋さんのイラストの本が三冊も書店で平積みになっているのだ!

いま読み返すと、自分で言うのもなんですが、いいですよね、コレ(笑)。でも確かに「カネになる小説」じゃないなあ。あの頃は宇山秀雄さんがいたからこそ実現した出版だったんですよねえ。でも、そういう位置にいる小説って、それが好きな人にとっては代わりになるものがないので、これからもそういう小説を書いてゆくつもりです。野垂れ死にしたら骨は拾ってください。

ホームページビルダーが挙動不審なまま、直してるひまもないし……ああ……ただでさえウィンドウズからウイルス扱いされがちなホームページビルダーなんかもうイヤだ……かといって別なソフトでゼロからサイトを作り直すなんてなおさら考えられない……ので、サイトは放置中です、すみません。

2013年3月13日 (水)

グーグル鉄

単なる思いつきですが、グーグル・カメラを鉄道の先頭車両に載せて「グーグル鉄」をやったら面白いんじゃないかなあ。そりゃ新幹線みたいな速度の出る列車だと技術的に厳しいかもしれないけど。

私は別に鉄子というわけじゃないんだけど、グーグル鉄があったらすごくうれしい。

2013年3月 5日 (火)

『カラマーゾフの兄弟』ヴァーチャル・サントラ

連ドラ版『カラ兄』も文蔵が殺害されて、いよいよ佳境に入ってまいりました。第一回を見た時は「三割増しで悪い」と思った文蔵も、殺されるまでには原作の五倍は悪くなったていた(笑)。これじゃ殺されるって(笑)。沼野さんはあの人物造形がなんか気に入らないと言うのですが、私は、舞台を現代日本に置き換える以上、必要なことではないかと思ったりします。『カラ兄』では四兄弟の上に三人の「父」が重圧としてのしかかっているわけです。一人目は聖なる父(神、その代理が教会やゾシマ長老)、二人目は俗権の父(皇帝、その代理が身分や家父長制)、そして三人目が家族の父。この第一と第二の父がいない世界に舞台を置き換えるのなら、三人目の父がこれらの重圧のすべてを体現しないといけないわけで。一見荒っぽく骨組みだけ現代に持ち込んじゃったように見えますが、実はけっこう考え抜かれた脚本のような気がします。

選曲も、小野寺教授が亡くなる場面で『1812年序曲』の聖歌の部分を使ったり、レトロなプログレ(ストーンズ、イエス、フロイド、ドアーズetc.)をちりばめたりで、ロシアとのつながりを意識しつつ、今の我々にとってリアルにレトロと感じられる雰囲気を作ったりして、そういうところもなかなかうまくいってるんじゃないかと思います。先々週、読売文学賞(亀山さんが『なぞ解き 悪霊』で評論賞を受賞)の受賞式の際にフジテレビ顧問の村上光一さんに伺ったのですが、深夜帯としてはかなり視聴率が良く、何より「幅広い層が話題にしてくれている」ということで、フジテレビ的にはホクホクらしいです。

そんな中、先日、ナクソス・ジャバンの配信事業部の方と接触する機会がありまして、こんなのをいただきました。

「カラマーゾフの兄弟」(ドストエフスキー)サウンド・イメージ・アルバム~読書のためのクラシック名曲集

ちょwww

要するに、アレです。クラヲタなら絶対身に覚えがあると思う。クラシックを使った「自作サントラ」ですがな。私もデビュー前に自分の小説のサントラを作っていたことはヒミツだ……。中二病的行為ですが、でも、クラヲタはやっぱり身に覚えがありますよねえ。ナクソス・ジャパンはもともと、「交響戦艦」シリーズとか、「ガチで怖いクラシック」とか(あ、このラインナップ、確かに怖いわ……)、四コママンガを連載したりとか、ツッコミ甲斐のある独特すぎる企画をやるところなので、ええ、奴らならやるでしょう、このくらいの中二病企画なら(笑)。

とはいえ、交響戦艦シリーズは企画こそネタくさいものの、選曲センスがすごい。有名すぎてかえって忘れがちな名曲からマニアック過ぎて誰も知らないような隠し玉曲まで、上手いとこ選んできよるのよねえ。なのカラ兄ヴァーチャル・サントラも、いかにも便乗企画っぽいものの侮れんと思いつつ聞きましたら……

おお、これはすごい。予想以上にハマってます。まず何と言っても、ロシア正教会の鐘から始めるところが「分かってるなあ」という感じ。プロコフィエフやムソルグスキーの定番っぽい曲も、ちょっと変わったアレンジのものを使ってるあたりも新鮮に感じる理由か。トラック19と20はいらないっちゃいらないかなあ。。「大審問官」にストラヴィンスキーのラテン語の曲を持ってくるあたりも小技がきいているし、雰囲気的にもこのちょっと異様な感じの和声進行は合っているんじゃないかと思う。

私だったら、イワンがらみのパートにはシュニトケを配置したいところですね。特にイワンとスメルジヤコフが関わる部分には「ファウスト・カンタータ」を多用したい。スメルジャコフとの「賢い人とは少し話をするだけで面白い」のシーンで冒頭の「Folget nun」から「Die vierundzwanzigJahre」にかけての部分(悪魔とファウストの契約期間24年とイワンの年齢がシンクロしてるところが小技)、「真相」では12時の鐘が鳴るところからアルトソロの「Es geschah」を。「大審問官」には「Requiem」の「Sanctus」(Hosanna in excelsisが妙に力ないところもミソ)、「悪魔との対話」には「四つの聖歌」の第三番、てのはどうでしょう。まあ、すべて中二病っぽい選曲なのは認めますが(笑)。

妄想はつきませんが、こういうネタっぽいくせに中身は本気な企画、今後もナクソス・ジャパンには続けてほしいところです。

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