ナイトランド第二号

季刊「ナイトランド」第二号拝受。ありがとうございます>関係者の皆様。
「ナイトランド」とは何か……みたいな話を私がするのも野暮な話なので、創刊号及び公式サイトに掲載されているエドワード・リプセットさんの創刊の辞を貼っておきます。
18世紀のゴシック・ロマンにはじまるホラー小説はその後二世紀にわたり深化と進化を展開し続け、21世紀の今日、現代英米文学の重要な分野を形成している。現在、ホラーは恐怖と幻想と怪奇を語ると同時に夢と記憶と時間を語り、さらに神話と夢想と永遠を幻視する。ホラーは今日、最も大衆的な読み物であると同時に、最も前衛的なる文学思潮であるといっても、過言ではない。
オカルト探偵物語や吸血鬼譚、幽霊物語、情痴怨恨絡みの残酷と残虐、クトゥルー神話といった、袖珍本やパルプマガジンより生まれた幻想と怪奇への憧憬は、21世紀に至り、より新しい幻想へ、より現代的な怪奇へと生まれ変わりつつある。
しかし、二十一世紀に入ってからの日本は、こうした英米ホラーの深化と進化をあたかも世界にはスティーヴン・キングとディーン・クーンツ以外、存在しないかのごとく等閑視してきた。
黒田藩プレスは十年近く、幻視の文学というジャンルを通じて日本文学と英米文学との懸け橋の役割を担ってきたが、現在の日本のこの状況を憂い、日本文学と英米文学をホラーで繋ぐ専門誌の必要性を痛感した。
そして、ここに我々は高品質のホラーとダークファンタジーを最高の翻訳で提供しようと決意したのである。
未訳・既訳は問わず、作家が日本で有名か無名かも問わない。我々が問うのはただ一つ、作品そのものである。
高品質のホラーを、ホラーを愛する読書氏へ提供し続けること。そうして海外と日本との断絶を解消し、海外と日本国内で、よりホラーを深化させ進化させる優れた才能を発見し、育て、内外に紹介すること。それこそがナイトランドの使命であり、トライデント・ハウスの理念である。
トライデント・ハウス 代表
エドワード・リプセット
昔のホラーって「一見無名作家によるこけおどし的パルプ・フィクション……に見えるけど、実は世界の滅亡に関する重大な秘密が!」みたいな雰囲気をまとってましたよね。でも最近のホラーって、モダンなサイコホラーだったり、実話怪談だったり、海外でもスティーヴン・キングもどきだったりというのが主流らしいのよね。そんな中、レトロな「ホラーらしいホラー」を、「ホラーらしい雰囲気」の中で読ませてくれる雑誌が登場。もちろんモダンなサイコホラーも実話怪談もそれぞれに好きだけど、やっぱり「往年のホラーらしいホラー」も読みたい。昔の本をあさるのも楽しいけど、今現在も世界のどこかにある(かもしれない)ゴシック・ホラーのことを知りたい、と思っていたので、「ナイトランド」は創刊と同時に飛びついておりました。
創刊号も第二号も、小説ははっきりいって玉石混交……なのですが、人によって何を玉として何を石とするかバラバラなのが面白い。第二号収録のルティグリアードの作品「アルハザードの末裔」のように、アラブの紛争地域を舞台にした「現代だからこそ」のクトゥルーものが読めるのも嬉しい。そして映画やゲーム関係のコラムも他じゃお目にかかれないレアで濃い内容で楽しい。何と言っても立原透耶さんによる中国幻想小説事情についての連載なんて、ほんっとに「ナイトランド」以外では手に入らない情報満載。
関連イベントの「新宿クトゥルーミーティング2」は7月4日に新宿ロフトプラスワンで開催だそうです。私も極力参加の予定。一回目も行きたかったんですけどね……でも乱歩賞に応募して以降は、道義上、そのスジの関係者や日本推理作家協会の方々と顔を合わせる可能性のあるイベントは避けていたので行かなかったのです。今回は行きたいです。
でもこれ、作る方の労力はハンパじゃないだろうなあ。関係者がへたばってしまわないことを祈る。でも出し続けて欲しいけど。読者というのは身勝手なものなのです(笑)。すまん(笑)。



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