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2012年5月13日 (日)

東京大学現代文芸論研究室論集『れにくさ』第三号 特集 「世界文学へ/世界文学から」

東京大学現代文芸論研究20120512_3 室論集『れにくさ』第三号をいただきました。

これは文字通り東京大学現代文芸論研究室が発行する論文集で、年一回の刊行……を目指しつつ、だいたい一年半に一冊という感じで発行されているようです。第三号の特集は「世界文学へ/世界文学から」ということで、全体の40%ほどを去年の11月に本郷で行われた国際シンポジウム「世界文学とは何か?」の講演と討論の書き起こしに当てているという労作。判型も従来のA6からB5になって字も大きくなり、中年フレンドリーになりました(笑)。でもものすごく正直に言うと、このサイズ、ちょっと収納に困る…でも、ガイコクの歴史とか文学の学術誌ってだいたいこういうサイズだよね……。実はフランスの『アナール』誌はもっとハンパに大きい。大学図書館に収蔵する時は合本にして製本する(つまり裁ち落して小さくしちゃう)ことを前提としているからなんですが、ナマの状態で個人で持つにはキビシいサイズorz。それに比べればマシだと思うことにしよう……。でもでかいなあ。こういうところにも「国際化」の波が押し寄せているんでしょうか。

私が今回いただいたのは、当該のシンポジウムで発言したから。会場から翻訳者や研究者からの発言があり、私もその中の一人だったという次第。このシンポジウムで得たことはさっそく三か月後の慶応での講義で活用させていただいたくらいで、ほんとに内容の濃い、意義深い企画でした。こういう企画を大学内部だけじゃなくて一般にも公開してくれるのはたいへんありがたいことです。聴講者は労なくしていいとこ取りですんません。

今まで若い人たちや作家志望者を相手に講演することは何度かあったが、何故か去年はアカデミック系の人たちに話す機会ばかりだった。前者に対しては必ず「小説を書きたいのと、作家になりたいのとは違う」という話をしてきたが、文学研究者に対しては、「小説を書くというのは打算や志や思想でできるものではなくて、もっと原始的なダイモーンに根差した何か、自分であって自分ではない無意識の彼方からやってくる衝動が根底にあることを忘れないでほしい」という話をする。どっちも核は同じで、円筒形は見る角度によって四角に見えたり丸に見えたりするようなものだけど。でもこれはプロとかアマとか売れっ子とかまだ一作も書き終わっていない志望者もみな区別なく分かっていることだと思うけど、「小説を書く」のって、どこからやってくるのか説明のつかない、自分自身にもコントロールできないナゾの力なんですよねえ。論文でも意見でもなく、何故「小説」なのか。評論家に誤読されて怒り狂う作家というのは古今東西あちこちにいるけど、誰からも誤読されたくなかったら、小説じゃなくて「主張」をすればいいだけの話であって、何も多大な労力を費やして、誤読の危険のある「小説」なんか書かなくたってええねん。何故人間は小説なるものに己のダイモーンを動かされてしまうのか。理論や解析では明らかにできない始原性が「小説」なるものには必ず含まれているのだということを、文学を研究する人たちには忘れないでほしいことです。

柴田元幸さんやダムロッシュさんの文学論が魅力的なのは、こういう始原性といつでも一緒にいるからからじゃないかと思っている。沼野充義さんや野谷文昭さんの文学論はもうちょっと冷静な感じだが、それでも文学の始原の側面を忘れ去ってしまうことはない。ついでに言うと、亀山郁夫さんは……あの人はね~、本当は小説を分析する人じゃなくて、小説を書く側の人のメンタリティだと思っている。「あっち側」じゃなくて、私と同じ側にいる人だ。もう自分で小説書いちゃったらいいのに。

……まあそれはともかく。

『れにくさ』は基本的には非売品なんですが、大学図書館の文学部系の紀要を収蔵しているところにはたいていあるのではないかと思われます。シンポジウムの書き起こしを読むのって独特の大変さがあるのですが、内容は濃くて得るものも大きいので、興味のある方は是非ご一読を。

ナゾなのは、このいただいた『れにくさ』のページの間から東大前のマクドナルドのレシートが出てきたこと。いや、もしただ単にレシートが挟まっていただけなら、発送作業の時に紛れ込んだんだろうなあくらいにしか思わないけど、不思議なのは、日付、時間、品目ともに、私がこの日このマックで買ったのと同一であること。厳密に言えば、時間は私が行ったのよりちょっとだけ前のようだ。私のレシートはもうとっくに捨ててしまっているので確認はできないけど、マックに行く直前に夫と電話で話していたので、その通話記録から考えるとそうなる。なんだろうこれ…… まあ、夕食がマックのサクラテリタマだったところはスルーでお願いします(笑)。この日は夫が別件で食べて帰ってくる予定の日だったんだよう。

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コメント

ふみお先生こんにちは

そりゃドッペルゲンガーっすね。
遭遇したら「罵倒する」と死なずに済むそうです。

さてトレヴァー・ホーン率いる「プロデューサーズ」
アルバムが6月発売。8月にはBillboard LVE 東京でライブ演るんですね。
嗚呼、早く観たい、聴きたい!

た、たたたたたった今罵倒しましたっ。何がサクラテリタマだこのやろうっ!(はあはあはあ)。
ああ危なかったw

そうそう~、それなんですよね~>プロデューサーズ来日。いまちょっといろいろ混乱してて、トレヴァー先生のことを全然考えておりません。8月のチケット取りとかもぜんぜん動いてない……。あとちょっとで混乱期を抜けますので、そしたら動きますですよ。

プロデューサーズはええねんから、ベノワ・デイヴィッドをVOにしてバグルズをやってほしいのは私だけ?!

よっしゃ~! 8月のライヴ行くぞ~!

混乱期抜けた!早っ!

私もバグルスでお願いしたいなぁ、、
ブルース・ウーリーとベノワさんのツイン・ボーカルで
キーボードはトーマス・ドルビー。。最高〜!

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