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2011年9月29日 (木)

ベラルーシ編はチェルノブイリもの、スロヴァキア編は原発ものです

『時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』、ついに発売日になりました。30日発売なんだか29日発売なんだかよく分かんなかったのですが、実際には今日、アマゾンが「予約」ではなく「発売中」になりましたね。

そもそも21世紀に書かれた東欧作品の翻訳自体が極めてまれで、21世紀ものの東欧アンソロジーといったら今の日本にはこれしかなく、当分これしかない状態が続くと思います。そうでなかったとしても、買って損はないというか、絶対「得した!」と思える内容なので、是非ご一読ください。

もう解禁してもいと思うので書きますが、ベラルーシ編のアンドレイ・フェダレンカ著「ブリャハ」はチェルノブイリものです。そしてスロヴァキア編の一つ、シュテファン・フスリツァ著「カウントダウン」は原発ネタです。どちらも去年の今ごろにはすでに収録が決まっていた作品でした。なんか原発ネタが重なったのでどうしようかなと一瞬迷ったのですが、作品自体のレベルが高かったのと、やっぱりこういうのは載せたほうがいいと思ったのとで、どちらも採用しました。

311以降も、二編とも変更なく載せちゃうかどうかということに疑問はありませんでした。中には不謹慎と思われる向きもあろうかとは思いますが。

でも、というか、だからこそ、我々はこれらの作品を読まなければならないと私は考えています。

スロヴァキアのフスリツァさんはもう亡くなっているので(2008年自死)直接通信することはありませんでしたが、ベラルーシのフェダレンカさんからは、地震の直後から、福島関係の大きなニュースがある折りなどに、日本を心配するメールをいただきます。

この二編の他にも、どの読者にも何らかの形で心の琴線に触れる作品、無意識の領域の「何か」が動かされる作品、カタルシスを感じる作品があるかと思います。「面白かった」じゃ済まなくて、何らかの形で心に染み入ってくるのが東欧文学の魅力。腹持ちがよくて何度でも食べられるのでお買い得です(笑)。

正直、初版部数はさほどじゃないし、増刷ということになったらちょっと時間がかかるかもしれないので、ちょっとでも買おうかという気持ちがありましたら早いうちに確保しておくのがお薦めです。というわけで、どうかよろしくお願いいたしますです。

2011年9月26日 (月)

名古屋ニュートリノ祭り

超光速ニュートリノ、名大で測定データ説明

 物質を構成する素粒子の一つ、ニュートリノが光よりも速く飛んだことを示す、国際研究チームの実験結果をめぐって、実験に参加する名古屋大学の小松雅宏准教授らが26日、測定データなどを説明するセミナーを、同大で開いた。

報道が連休中だったということもあり、午前中の家事の間つけっぱにしておきがち系の番組でも、今日は盛んにとりあげられてましたね。

「(相対性理論では)物体は光速に達すると時間の流れが止まる(ことになっている)」の件に言及しないまま「光より早いので過去にさかのぼれる」とか言い出してゲストコメンテーターが「?????」になる番組、「ニュートリノでタイムマシンを作れば過去に行ける」とか言い出す番組、ネット上で「(私たちは) どうすればいいんでしょう?」と言い出す書き込み……。いや、大丈夫だからw 物理法則自体は昨日とおんなじだからw

普段からニュートリノのことをえて生きてる人なんて、地球上に数えるほどしかいないだろうしねえ。ていうか、具体的に名前をリストアップできそうだ 知らなくても生きてゆけるニュートリノ。でも知ってたらちょっと楽しいニュートリノ。

いずれにしても、今回の発表は「複数の研究機関による共同研究で、可能な限りの手を尽くして三年間に一万回以上計測したけど、どうしてもデータは『ニュートリノのほうが光より速い』という結果になってしまう。追試や解釈に関して世界中の研究者、研究機関に意見を求めたい」という趣旨であって、テレビショーで言われがちな「タイムマシン可能?!」みたいな話ではないはず。計測方法に新たな提案があって、つくばとかフェルミ研で追試したら「な~んだ、こんなミスか~」ってことになるかもしれないし。

もし追試でも、どういう方法を使っても同じ結果が得られるのだったら、次は「観測が結果に及ぼす影響」、「相対性理論の再検証」、「ニュートリノは本当に物質なのか」等(すいませんシロウトはここまでしか思いつきませんorz)、古典的な問題に立ち返ることになるんじゃないのかなあ。光速を超えると時間を遡ることになるかどうかはそれからなんではなかろうか。違うの?

いずれにしても、「さっき」射出したニュートリノが「今」観測できたんだったら、そのニュートリノが時間を遡ったという観測的事実が存在しないことだけは私にも分かる。730㎞で1億分の6秒なんて誤差の範囲なんじゃ……?と最初思ったけど、林譲治さんとやり取りしているうちに「でも何万光年というオーダーだったらものすごく有意の差になる」ということにやっと気づいて愕然。もうね、ニュートリノの速さより自分の思考の遅さに驚くwww

なんていうことをやっているうちに「アントンと清姫」の縮小英語版が完成。……過去に向けて素粒子を照射して歴史を変えようという短編じゃないですか(笑)。でもこれはSFですんでwww こういう偶然が重なった時ってわりと幸先がいいのだ。これはこれでまたのちほどアナウンスします。

NHKが「コズミック・フロント」の特別編とかでニュートリノに特化した回を作ってくれないかなあ。

2011年9月23日 (金)

キリンスマッシュ

いや、別にキング・オブ・コントの優勝がロバートであることに不満があるとかそういうわけじゃないんだけど……

自分の中で2700のキリンスマッシュが妙に評価が高いので戸惑っているw

ポーランドで紹介されたよ~

Polandkawerna20110922

ポーランドのファンタジー系出版社Kawernaのサイトで『時間はだれも待ってくれない』が紹介されました~。いやあ、それにしてもポーランド語めね~w 人名しか読めないw あ、でも、沼野さんの肩書きがちゃんと紹介されてるのは分かった。やっぱりポーランドでは沼野さん知ってる人がけっこういるんでしょうねえ。

それにしても、このサイトをざっと眺めてみただけでも、ポーランドのアート大国っぷりがうかがえますね。すごいっていうか、怖いくらいだ…… その中でもまったく引けを取らないどころかますます映えるCoppers早川さんの造形も素晴らしいです。

昨日、見本が来ました。もともと、我ながらいい作品が集まったとは思ってましたが、本という形になってみるとその想いはますます強くなりますね。厚さも、価格も、初心者にも手に取りやすいものだと思います。もちろん内容的には通にも喜んでいただけるものです。お楽しみに~。

2011年9月18日 (日)

東欧アンソロジーの序文をweb公開

東京創元社の「Webミステリーズ!」9月号に『時間はだれも待ってくれない ―21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』の序文を公開しました。今まで何の説明もなく収録国だけ公開してたので、「なんでオーストリア入れてんの? なんでブルガリア抜いたの? とりあえず翻訳できる国の作品を手当たり次第にかき集めただけ?」等、ちょっと何だかなあということも言われていたようですが、これなら購入前に本書の趣旨を理解していただけるかと思います。

Webミステリーズ9月号 「ツァーリとカイザーの狭間で ――文化圏としての東欧」

沼野充義さんの解説は購入してからのお楽しみ!

ロシアとも関わりがないとは言えないので、カテゴリ設定は「ロシア・ソ連」にも入れておきます。

May the Moleskine be with you!

モレスキン 限定版「スター・ウォーズ」ノートブック

20110918jpg

写真はモレスキンの公式サイトのもの。

発売日である9月14日(私の誕生日でしたw)になぜかたまたま知ってしまい、ラージ版を両方買いました。

やけに評判が高いライフのノートはドクター・ヤンセンのインクと相性が悪いし、カキモリのオーダーメイドはBサイズしかない(B5は持ち歩くにはでかくてB6は小さすぎ(泣))し、やっぱりノート関係は何もかもA5サイズに戻そうと思っていたところでした。紙としてはミドリかロイヒトトゥルムに心が傾いていたところ、こんなものが発売という情報に遭遇。

買わないわけがありません(笑)。

表紙は、あのいかにもSWなオープニングのタイトルロールとハイパードライブに入る瞬間。罫線なしのほうがタイトルロールで、罫線ありのほうがハイパードライブ。さすが公式コラボなだけあって、何となく「ワープ」と表記されがちなハイパードライブがちゃんとハイパードライブって書いてあるところとかも密かに嬉しかったりw 

日本で売ってるモレスキンって強烈に高価で「高級品」というイメージですが、ネットでいろいろ方法を模索するとすんごく安く手に入ります。ていうか日本で売ってるモレスキンってなんであんなに高いの? 「ありがたみ」の問題?

2011年9月16日 (金)

May the SF be with you!

公表してもいいみたいなんですが、まだ最後の最後で決裂する可能性もゼロではないのでぼかしますけれども……さる事情で私の短編の一つがとある言語に翻訳されている最中です(他にも翻訳中の作品はありますが、それらについても追々お知らせします)。

で。

なんかヘッドの方とどうしても理解し合えないところがあるんですよね。最初は「日本的な考え方を理解してもらうこと」が難しいのかと思ってたのですが、その方は日本に関しては専門家で、日本が理解できないなんてことはあり得ないのですよ。でも……なんでここに疑問を持たれるんだろう?てなことがあって……

昨夜、突然、天からの啓示のように思ったこと。その方は「日本的な考え方が分からない」のではなく、「SFがニガテなヒト」なのではないかということ。もしかしたら、ファンタスチカ全般、例えば泉鏡花やブルガーコフやカフカも苦手かもしれない。ブラッドベリやヴォネガットはどうだろう?

中学生の頃、『スーパーマン』(1978年、クリストファー・リーブが主演の)を見に行った時、一緒に行った人の中に「なんでロイスが助かったのか分かんない」という人がいたけど、あの時と同じ感じがする。

『スーパーマン』のラストはさー、同時にツッコミどころでもあって、そこがまたSF的には楽しいわけですが、「それを説明してあげて、理解してもらう」性質のものかというと……なんか違うよね。何が起こったのかは説明できるし、その面白さを「分からせる」のはまた別な問題。

日本と他国の考え方の違いなら、お互い、近時の問題や分かり合えそうなポイントを経廻りながら共感点を探ってゆくのは有意義と感じるけど、SFがニガテな人にそれを「分からせよう」とするのって、とても不毛な気がする。逆に、向こうから「SFのつまらないところ、ダメなところ」を説明されたからといって、それまでに読んできたSFをつまらなく感じるようになるわけじゃないし。こちらから何かすとすれば、いい作品を紹介するとかはありだけど、「SFが分からない」人に『マイノリティ・リポート』の面白さのポイントとか、『スター・トレック』のどこが魅力かとか、『日本沈没』の何がすごいかを説明して「分からせよう」とするのは無理があるんじゃないかなあ。それに「SFを分からせようする」ことって、とても傲慢に思える。

別な方向から考えると、文化圏による考え方の違いは多少なりとも克服できるけど、SFが分かるか分からないかって、なんかけっこう克服しがたい壁のように思える。英語が苦手でもワールドコンの中にいる時は楽しくて、その外で同胞たる日本人に「えすえふたいかい~(苦笑)?」ってされると壁を感じる、あの瞬間ね。

おおげさに言えば、SF(より広義にはファンタスチカ)って、違う文化圏の者同士が理解し合うよすがになり得ますよね。どこの国も、外交政策の一環としてもっとSF・ファンタスチカに対して支援をするべきだ(笑)。

この件、どうなっちゃうんだろう~。誰もが善意で最良の結果のために惜しみなく働いているのは事実だけど……

2011年9月 8日 (木)

『時間はだれも待ってくれない』目次

20110907

アンソロジーの収録作品ってどういうタイミングで公開したらいいのか分かんなかったので東京創元社任せにしてましたが、同社サイトに掲載されましたので、こちらにも転載します。

そういや年間ベストのアンソロジーも書影が公開されるくらいの頃に目次もぼちぼち解禁って感じだった……ような気がする。全然学習してない……orz 自分が収録される側だとそういうことは全然考えてなかったからなあ。

「時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集

序文  「ツァーリとカイザーの狭間で ―文化圏としての東欧―」 高野史緒
オーストリア 「ハーベムス・パーパム(新教皇万歳)」 ヘルムート・W・モンマース/識名章喜訳
ルーマニア 「私と犬」 オナ・フランツ/住谷春也・訳
        「女性成功者」 ロクサーナ・ブルンチェアヌ/住谷春也・訳
ベラルーシ 「ブリャハ」 アンドレイ・フェダレンカ/越野剛・訳
チェコ    「もうひとつの街」 ミハル・アイヴァス/阿部賢一・訳
スロヴァキア「三つの色」 シチェファン・フスリツァ/木村英明・訳
        「カウントダウン」 シチェファン・フスリツァ/木村英明・訳
ポーランド  「時間はだれも待ってくれない」 ミハウ・ストゥドニャレク/小椋彩・訳
東ドイツ   「労働者階級の手にあるインターネット」 アンゲラ&カールハインツ・シュタインミュラー/西塔玲司・訳
ハンガリー 「盛雲(シェンユン)、庭園に隠れる者」 ダルヴァシ・ラースロー/鵜戸聡・訳
ラトヴィア 「アスコルディーネの愛─ダウガワ河幻想─」 ヤーニス・エインフェルズ/黒沢歩・訳
セルビア  「列車」 ゾラン・ジヴコヴィチ/山崎信一・訳
解説  「東欧の幽霊には足がある?」 沼野光義
あとがき  高野史緒

造形 Coppers早川
装幀 岩郷重力+wonder workz。

収録作品はいずれ劣らぬ秀作ばかりでございます。乞うご期待!

関連エントリ:東欧アンソロジーの序文をweb公開

2011年9月 4日 (日)

オリジナルインク「ペテルブルク」@インク工房

体調悪くてSF大会行けな~い、とか言ってるわりに、土曜日には伊東屋のセーラー万年筆100周年記念フェアに行ってしまうワタシ(笑)。ダメ状態とはいえ、全然出かけられないというほどではない。何と言っても、伊東屋は地下鉄で行けるけど、ドンブラコンL@静岡は新幹線に乗らないと行けないしね……

何をしに行ったのかというと、「インク工房」でオリジナル配色のインクを作ってもらいに行ったであった。インク工房というのは、セーラー万年筆の混色可能インク「ジェントルインク」をブレンドして、客が希望する色を作ってくれるというイベント。ブレンダーはこの世界のヒーローの一人、セーラー万年筆の石丸治さん。インク工房もペンリニックも、意外になかなか東京に回ってこないのだ。

当然、土日の伊東屋でインク工房をやったら人が並んじゃうに決まっているではないか、台風が来るんだったら行こう、と思っていたのであった(笑)。台風12号は関東をそれたが、天気が荒れることを警戒してか、案の定、銀座はいつもの土日より人が少ない。伊東屋もしかり。インク工房も私の前に二人いるだけだった。でも午前中の開始直後にすでに来ている人がいるのだ。

私は以前から、エルミタージュ美術館やマリインスキー劇場の壁色のインクがあったらなーと思っていた。でも、既成のインクでグリーン・グレイってないのよね。なんでだろう。あんなにいい色なのに。でももしかしたら、万年筆用のインクでは難しい色なのかもれない。でもなあ……。イラスト用の水性マーカーはグリーン・グレイ系はブルー・グレイ系より充実していることが多く(特にマービーは)、水性インクでこういう色は作れるはずなのでは……?

てなわけで、マービーのイラスト用水性マーカー数本と小学館の「色の手帖」を持ってインク工房へ。見るからに「めんどくさい客」って感じですが(笑)。

でもこういう色見本があった方がやりやすいようでした。石丸さんによれば、グリーン・グレイ系はあまり作ったことないそうです。ふーん。みんな案外作らないんだ……。どうりで既製品がないはずだ……
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最終決定後にそれをブレンドする石丸さん。昔、インク工房が始まったばかりの頃は作業着でやっていたそうだが、なんかイマイチかっこよくないので、いろいろ考えた末、蝶ネクタイでシェーカーを振るバーテンダーのスタイルにしたという。学生時代にバーでバイトをしていて、最終的にはボーイだけじゃなくてバーテンダーもやったいうのだから、シェーカーの振り方はインク製造より早いうちに経験があったわけで、どうりで様になってるはずです。
最初に作ってもらったのが案外明るい感じで、もうちよっと天気の悪い日のベペテルブルクっぽくグレイ寄りのほうがいいなーと思って、ほんのちょびっとだけグレイ寄りにしてもらうと、これが案外、イメージが違ってしまう。エルミタージュというより、翡翠とか青磁の印象になってしまうのだ。そういや私が持っていった一番イメージに近いマーカーはJade greenという名前だ。ちょっと黄色寄りかなあ、もうちょっと青い方がいいかなあと思ってブルーをほんのちょっと濃くしてもらっただけで「青緑」という感じの色になってしまう……。難しい。
この色に関しては私も経験がないわけではない。自分のサイトの壁紙を作るために(パソコンのソフト上でだけど)死ぬほど試行錯誤したのであった。私んとこの壁紙はちょっとずつ明度の違う色のモザイクだけど、インクはそういうわけにはいかない。もうちょっと明度を落として薄めたら……と考えなかったわけではないが、それはイラスト用マーカーならいいけど、あんまり薄いと筆記には向かなくなっちゃうからなあ……とかやっているうちに、最初に作ってもらったインクが乾いてくると、これがいい色だったのだ。やっぱりインクは、乾いてからの色を見ないとダメですね。

試行錯誤し過ぎるとドツボにはまるのはもうイヤというほど経験してるのでorz、最初に作ってもらった色に決定。案外、「最初のがよかった」っていうことって多いよね……
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写真に撮るとまたなんか違って見えてしまうのだが、実物は、乾くと微妙にパウダリーな感じで、キラキラしない程度に鮮やかで、エルミタージュやマリインスキーのイメージ。近くで見るとちょっと鮮やか過ぎたかなあ、と思わなくもないけど、ちょっと離れて見ると意外とグレイッシュ。紙によって晩夏のエルミタージュのような気がしたり、雪の日のマリインスキーに見えたり。

インク工房で作ったインクには依頼者が名前を付けることができるし、発注番号ももらえるので、伊東屋でリピートすることも可能。命名は『赤い星』のロシア語版の完成と成功を祈念して「ペテルブルク」にする。 名前と発注ナンバーは、自分の発注したインクを自分のものだけにしておきたい人はネット上で紹介する時も秘密にしているけど、私は自分のプロデュースしたものを他の人も欲しいと思ってもらえるのは嬉しいほうなので公開します。名称は「ペテルブルク」、発注ナンバーは110903006、伊東屋のセーラー万年筆のカウンターでこれを告げれば作ってもらえます(伊東屋じゃなくてもインク工房を開催するお店ならどこでもOKという話も聞くので、いずれにしてもお店側に要確認)。お値段は2100円。別に著作権とかがあるわけじゃないですが、もしネットで紹介するならここにリンクしていただけるとありがたいです。いつかは「赤い星」も作ってもらうつもり。

石丸さんのおじさんは特に高い教育を受けたわけではないお魚屋さんだったそうだが、ロシア文学がものすごーーーーく好きで、進学をひかえていた石丸少年に「化学じゃなくて文学の学部に行くんだったら学費は出してやる」と言っていたそうだ。「でも、化学者が趣味で文学をするのは可能だけど、逆は難しいですよね」って言ったら、当時の石丸少年も同じことを考えたそうで、結局化学のほうに進学したのだそうだ。そこでおじさんは「そうか、わかった。それがお前の選んだ道ならば……」と言って学費を出してくれた……かというと、そんなことはなく、やっぱり出してくれなかったそうだ(笑)。でもそのおかげで石丸さんが学費のためにバーでバイトして、その経験がインク工房に生きていることを考えると、おじさん、ナイス判断だったのかも。

筆文字のような線が書けるセーラー独自の万年筆「ふでdeまんねん」の廉価版とコンバーターも買ってしまった。この透明軸の「ふでdeまんねん」は今のインク工房でしか買えないようだ。これに慣れたら、いつか長刀研ぎのいいやつを買うんだ~。

てことで、電池が切れないうちに直帰。
セーラーのインク工房とペンクリニックの予定はこちら。今月はインク工房が東京に回ってくる率高いですね。

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