ベラルーシ編はチェルノブイリもの、スロヴァキア編は原発ものです
『時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』、ついに発売日になりました。30日発売なんだか29日発売なんだかよく分かんなかったのですが、実際には今日、アマゾンが「予約」ではなく「発売中」になりましたね。
そもそも21世紀に書かれた東欧作品の翻訳自体が極めてまれで、21世紀ものの東欧アンソロジーといったら今の日本にはこれしかなく、当分これしかない状態が続くと思います。そうでなかったとしても、買って損はないというか、絶対「得した!」と思える内容なので、是非ご一読ください。
もう解禁してもいと思うので書きますが、ベラルーシ編のアンドレイ・フェダレンカ著「ブリャハ」はチェルノブイリものです。そしてスロヴァキア編の一つ、シュテファン・フスリツァ著「カウントダウン」は原発ネタです。どちらも去年の今ごろにはすでに収録が決まっていた作品でした。なんか原発ネタが重なったのでどうしようかなと一瞬迷ったのですが、作品自体のレベルが高かったのと、やっぱりこういうのは載せたほうがいいと思ったのとで、どちらも採用しました。
311以降も、二編とも変更なく載せちゃうかどうかということに疑問はありませんでした。中には不謹慎と思われる向きもあろうかとは思いますが。
でも、というか、だからこそ、我々はこれらの作品を読まなければならないと私は考えています。
スロヴァキアのフスリツァさんはもう亡くなっているので(2008年自死)直接通信することはありませんでしたが、ベラルーシのフェダレンカさんからは、地震の直後から、福島関係の大きなニュースがある折りなどに、日本を心配するメールをいただきます。
この二編の他にも、どの読者にも何らかの形で心の琴線に触れる作品、無意識の領域の「何か」が動かされる作品、カタルシスを感じる作品があるかと思います。「面白かった」じゃ済まなくて、何らかの形で心に染み入ってくるのが東欧文学の魅力。腹持ちがよくて何度でも食べられるのでお買い得です(笑)。
正直、初版部数はさほどじゃないし、増刷ということになったらちょっと時間がかかるかもしれないので、ちょっとでも買おうかという気持ちがありましたら早いうちに確保しておくのがお薦めです。というわけで、どうかよろしくお願いいたしますです。
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