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2011年8月22日 (月)

アンドレイ・フルジャノフスキー監督来日

22日にサントリー財団のサマーフェスティバル2011の一環として、アンドレイ・フルジャノフスキーの幻の名作「グラス・ハーモニカ」が生演奏付きで上映されます。そのため、フルジャノフスキー監督ご夫妻が初来日されました(訂正:1990代に広島アニメーション・フェスティバルのために一度来日されているそうです)。……せ、先週じゃなくてよかった

20110821

今日、8月21日の歓迎パーティでのフルジヤノフスキー監督と奥様のマーシャさん。……ちょっとブレてますね いやあ、写真って難しいですねえ(<言い訳がましい)。マーシャさんはかつてモスフィルムで映像編集の仕事をされていて、その後、フルジャノフスキー監督の作品の編集等をなさっているということで、親友のユーリ・ノルシュテイン監督のおうちと同様、ご夫婦で作品を作っていらっしゃるそうです。

ロシアのアート・アニメーションのファンの方々は私なんかよりよくご存じだと思いますが、フルジャノフスキー監督は、60年代に全ソ映画大学を卒業後にソ連最大のアニメスタジオ「ソユズムリトフィルム」でアニメーション制作に携わり、現在までアート・アニメーションの第一線で制作をされている映像作家。情緒的な作風ながらも、活動初期から権力に対する厳しい批判を含んだ作品を作っていたため、ソ連時代には「なかったこと」にされていた作品が数多くありました。今回上映される「グラス・ハーモニカ」もその一つで、映像自体は残っていたものの、オーケストラ用のスコアが失われていて、今回の上映に際してはサントリー財団がヨーロッパのフィルムアーカイブに残っていたフィルムを綿密に分析して 聞 き 書 き で オ ー ケ ス ト ラ ・ ス コ ア を 再 現 す る という大技を駆使したそうで それでついに、世界初、「グラス・ハーモニカ」に生オケで音楽をつけるという大企画が実現したのだそうです。

音楽はアルフレード・シュニトケ。アートアニメにさほど興味はないという向きも、シュニトケにつられて見に来て損はないです。絶対、「いいものを見た!」と思って帰れます。

フルジャノフスキー作品といえば、去年、日本ユーラシア協会で、ヨシフ・ブロツキーの生涯をモチーフにした「一部屋半 あるいは祖国への感傷旅行」が一度だけ上映されたことがあって、これがまた何とも言えない秀作で、映像美とロシア的メランコリーの背後に、ブロツキーに放浪を強いた社会や権力に対する毅然とした拒否の姿勢を秘めていて、繊細かつ骨太かつ情緒的にして現実の厳しさと妄想美と感傷と実写とアニメが一体化した、アート系の映画が見たい全ての人が満足するスゴイ逸品だったのですよ。あれはああいう特定の人しか来ないサロン的なところで上映するべき作品ではなくて、単館でもいいので劇場で上映すべき作品。その時井上がつけた字幕がすでにあるので、ほんとにもう、マジで何とかして欲しいところです。

監督は歓迎会では、食べるのもそこそこに一人一人の質問に丁寧に答えたり、アニメーションと実写とドキュメンタリーが融合した作品についての展望を語ったり。もう70歳を過ぎていらっしゃるのですが、長旅の後でもお元気そうでした(いやあ、ホント、先週じゃなくてよかった……)。

22日のプログラム等についてはこちら。まだチケットはあるようなので、今からゲットでも遅くないです(でもいちおう、当日券突入より、チケットガイド等で確認してからのほうが無難かと)。

いやあ、フルジャノフスキーやブロツキーやシュニトケがしてきた苦労に比べたら、私のなんか苦労のうちにも入んないわ……がんばります……

関連記事:8月29日「フルジャノフスキーがシュニトケについて語ったこと」

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