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2011年3月19日 (土)

被災者をロシアに受け入れ?

被災者をロシアに受け入れ=治療、再就職も-メドベージェフ大統領

【モスクワ時事】ロシアのメドベージェフ大統領は18日、東日本大震災の被災者をロシアに受け入れ、治療や再就職のあっせんを行う用意があると表明した。インタファクス通信が伝えた。
 大統領は安全保障会議で、被災者への人道支援物資提供以外に、「日本の子供たちや負傷者をロシアの休暇・療養施設に受け入れ、治療や心理的リハビリを行うことも検討する必要がある」と強調。また、「必要があれば、シベリアや極東の人口過疎地で日本人の労働力を活用することも考えるべきだ」と述べた。
 ショイグ非常事態相は、外交ルートで負傷者の治療受け入れを日本側に提案したと大統領に報告した。(2011/03/18-23:19)

え、ええと……

メドベたんありがとう……。100%善意なのだと信じるよ。うん、信じるとも。

だけど正直……

それは日本には言ったらあかんわ……

大陸では何千年も前から(というか、人類にまだ文明もへったくれも無いような頃から)、戦争や天変地異があると陸続きでどどっと人口が移動し、それを受け入れるのが普通だったのは知っている。今でも遊牧民いるしね。土地に対する感覚も島国日本とはだいぶ違うものであるらしいことも、私にもうっすらとは分かっているよ。でもね、同じ大陸の人相手にこういう提案をするのと、日本に提案するのとでは、受け取り方が激しく違ってしまうというのも分かって欲しい。

気象が過酷過ぎて言語がワケ分かんない、そして法律も慣習も食べ物も違うシベリアに渡るより、東北を再開発するほうがずっといいです……

しかし、日本人にもシベリアに対するロシア的な感覚というものを少し知っておいてほしい。

ヨーロッパ・ロシアの人々にとって、「シベリア」というのは単に「流刑地」というイメージではない。特にモスクワやペテルブルクのような都市部の人たちにとっては、ある種の自由な新天地という憧れをもって語られる場所でもあった。そう、昔の「東京で行き詰ったら、北海道に駆け落ちして酪農をすれば幸せになれるさ」みたいな感じ。それのもっとスケールの大きいやつというか。ああ、あとあれね。「オレは満州に渡って馬賊になるんだ!」みたいなの。

狭苦しい都会では、人間はみな身分や階級に縛られて、ささやかな給料のために毎日お勤めしたり、ちまちました商売で日銭を稼いで、見栄を張った人付き合いだのに神経をすり減らして生きている。でも、そんな都会人の中にも、何にも縛られずにゼロからすべてを立ち上げるような野性的で自由な生き方をしたいという始原的な熱望がある。それが実現できる場所がシベリア。それこそコサックのように豪快に生きられる憧れの新天地という感覚であるらしい。

ロシアのひたすら真っ平らで、ところどころの森以外何もない平地を車で何時間も走っていると、日本やヨーロッパとはまったく違う、何とも言えない独特な感覚に襲われる。ロシア語の「タスカー」は、辞書的な意味では「憂愁、寂寥感」等としか書かれていないが、どうやらこの「タスカー」というのは、このロシアの平原の只中にいる時のあの感覚と結びついた意味があるらしい。確かに、あの何もないところにいると、世界から隔絶されてしまったような寂寥感に襲われる(実際、エンジンが止まったら「ドライブ」から一気に「遭難」にw)。でも、その彼方に、何というか、もっと人間本来の生命力とか豪快さを発揮できる自由な世界の存在感みたいなものはあるような気がする。オタール・イオセリアーニの映画『素敵な舟と歌は行く(Adieu, plancher des vaches!)』(1999年)って、グルジア出身の監督がフランスで作った映画で、実物のシベリアは関係ないけど、そういう意味の結末なのだと私は思っている。

ロシアの人にとって、「そこに住めなくなったら、自由なシベリアがあるじゃないか」と考えるのは、それほど不思議なことではないはず。

……なんだけど、日本人にとってのシベリアがどうなのかは、それとは思いっきり激しく強烈に狂おしいまでにものすっっっっっっっっごく乖離しているので、それはやっぱりムリだよ、メドベたん

「(上記のロシア的感覚を承知の上で)私だったらシベリアはナシだなあ」と言ったら、井上は「いや、僕だったらシベリア行きは案外ありだけどね」だそうです ……この人はロシア化してますので参考にしないで下さい。東京直下型地震を生き延びたら、うちはシベリア離婚かも

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