ウェルザー・メスト&ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート
ウェルザー・メスト&VPOのニューイヤー・コンサート終了。正直、生中継のを最初から最後まで見たのって……大きな声では言えないけど15年ぶりくらいか。一番血道をあげていたのは中高生の頃で、大学に入るくらいの頃には、ニューイヤー・コンサートをありがたがるという風潮自体をダサく感じて反抗し、そもそもウィンナ・ワルツとか全然聞かないでロシア、フランスものとか近現代ものとか聴くようになって(クラシックファンの中の尾崎豊化みたいなことは、わりとある)、『ムジカ・マキーナ』を書いてる頃にまた中継を見るようになって、メータとかマゼールとかのツボじゃない指揮者が続いた頃にまた気持ちが離れてしまい、ここ数年は再放送を見ていた、という変遷だったりします。
バレエの振り付けがジャン・ギョーム・バールになって、なんかえらく洗練された気がするのはひいき目過ぎ? 今シーズンからウィーン国立バレエの監督がマニュエル・ルグリになったというのは実は今日初めて知った罠。バールはもう10年以上前からルグリがプロデュースする公演などで振り付けを磨いてきているので、このタッグの実力発揮でしょうか。よ~く見ると、踊っている場所の床材や絨毯の有無で巧みに振り付けを変えていて、見た目だけ重視じゃなくダンサーへの配慮も実にこまやか。「わが人生は愛と喜び」の三組は、登場順にオーストリア、ポーランド、ハンガリーの象徴でしょうか。特に、ポーランドの男性はショパンかなあという感じ。オーストリア、ポーランド、ハンガリーというより、シューベルト、ショパン、リストかな。窓の外、むっちゃ雪積もってましたね。
前半は慎重に様子見とウォームアップだったようで、あまりいじらずに、ウィーン・フィル的「ウィーンっぽさ」の自主性に任せたという感じでしたね。
後半に入ると、いきなり「騎士パズマン」で飛ばす。これは相当みっちりオケに仕込んだ様子。まさしくフランツ君らしい、いい意味でも悪い意味でも、想像通りの演奏。ああカッコいい。ふふん、だから「騎士パズマン」はウェルザー・メストに向いていると言ったじゃん。きっとやると言ったじゃん。大当たりじゃん。今年一年間、ずっと自慢したるわ。カチューチャ・ギャロップは「カチューシャ」じゃなくてスペイン舞踊の「カチューチャ」ね……。カンチガイしてました。予想の大穴を狙いすぎて目が滑りました。ああ恥ずかしい
後半は「騎士パズマン」と「メフイスト・ワルツ」、「ロマの踊り」、「わが人生は愛と喜び」はかなり仕込んできて、あとはVPOの「らしさ」に自然体に任せた感じでしょうか。全体に、マエストロっぽいとかエンターテイメントっぼいとかではなく、えらいノーブルな印象でした。
アンコールで露呈したのが、ネタっぽい演目のお遊びや客いじりのヘタさ。不安には思ってたけど、予想以上にヘタ。「ドナウ」の時の新年のあいさつが超シンプルだったのは、客いじりがヘタだという自覚があるからか、と邪推するワタシ。それにしても……ああ……「ラデツキー行進曲」のあの部分は、基本的には客はずっと拍手しててもいいはずなのよね。前半がピアノ、後半がフォルテで。指揮者によっては後半だけ拍手させるとか、曲の最後のほうはずっと拍手させっぱなしとか多少のヴァリエーションはあるものの、いずれにしても指揮者はうまく客をいじらないといけない。止めるパターンはバレンボイムがむちゃくちゃ上手くて、あれはウケたなあ。フランツ君は客のせるにしても止めるにしても、もっと上手いとこいじらないと。最初は拍手していた客が「え、これ、拍手してもいいの? どうなの?」という感じで迷ってフェードアウトしちゃうなんて、あまりにもノリが悪すぎる……。指揮を見てても、確かに、拍手すべきなのか止められてるのか分かんなのいよね。ドナウの時も、何だか「弦のトレモロ→客の拍手→演奏を止める」のタイミングがちょっと悪くて、誰も彼もが「え、これでいいの?」と迷いながらやってる感じで、イマイチでした。ああいうのは水戸黄門の印籠なんだから、もっとマンネリの快感が味わえるノリでやってほしいことです。ことに、ダニエル・バレンボイム(2009)とジョルジュ・プレートル(2010)の究極の客いじりの後なだけに、ちょっとガッカリ度が高いよ、フランツ君。
来年はヤンソンスか……。ヤンソンス、嫌いじゃないんだけど、なんか今一つ乗り切れないのであった。フランツ君には、次に登場するまでに客いじりを向上させてほしいところです。ただのお遊びネタじゃないんだから。あれが大事なんだから。
« トレヴァー・ホーンが大英帝国勲章を受章! | トップページ | 茨城における大学芋の認識について »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。


こんばんわ。
12月19日のNHK思い出の名演奏(1992年)を見て初めてメストさんの
躍動感あふれる指揮のとりこになりました。今日の演奏とても楽しみにしていました。
クラッシックの番組最後まで見たの19日と2度目。
18年のギャップがありましたが、はまりそう。
ときどきいのぞいてみます。情報教えてください。
投稿: 千夏 | 2011年1月 1日 (土) 23:44
まあこちらは作家がジコチュー的に気が向いた話題を書くだけのブログで、いらしてもたいした情報はないかと思います。すみません
ディスコグラフィーは友人が作っていますが、充実してます。その他のページは更新滞り気味か。
http://homepage2.nifty.com/FWM-MFV/discography.htm
私のデビュー作『ムジカ・マキーナ』の主人公フランツ・マイヤーも、『帝都ウィーン薔薇の騎士物語』(←やや黒歴史
)のフランツ君も、『架空の王国』のフランソワ・ルメイエール教授も、読んだらすぐそれと分かるほどあからさまにモデルはウェルザー・メストです。こんだけのことやっちょったら、「騎士パズマン」やヨーゼフを大事にしそうなこととか、フツウに見抜けるがぜよ!
投稿: ふみお | 2011年1月 2日 (日) 01:19
あの「ノンストップで」の青信号の出し方はあんまりでしたね。
やはり百戦錬磨のフランス爺さんの翌年となると、洗練のされ方の違いが目立ってしまいますねえ。
ヤンソンスは前回の出番の時にめちゃめちゃ堅苦しい音作りでしたから、2回目でどれくらいこなれているか、ですね。個人的には期待薄。
投稿: 喜多哲士 | 2011年1月 2日 (日) 23:58
関西の方から見ると、あの客いじりはなおさら許せなかろうと思われますw
ようつべにバレンボイムやブレートルのラデツキーが上がってました。フランツ君のももう上がってます。プレートルは一度目は「リードが上手い」というくらいでしたが、2010年にはまさに「客いじり」状態。バレンボイムは、こうやって改めて見てみると、客いじりがうますぎるw 笑いを取ってどうするwww
フランツ君は、ドナウの時もなんかスベリ芸っぽかったですね
こういうところがこなれてくると、音楽性にももっと幅が出てくるんじゃなかろうかと思うところです。
ヤンソンスは……指揮者としては嫌いじゃないけど、期待薄。来年もまた中継見ない組に戻るのか>ぢぶん
投稿: ふみお | 2011年1月 3日 (月) 00:59
喜多哲士「ぼやき日記」
ウェルザー=メストのニューイヤーコンサート [音楽]
http://boyakinikki.blog.so-net.ne.jp/2011-01-02
そっか……やっぱりバレンボイムってそういうパフォーマンス上手いんだ……
投稿: ふみお | 2011年1月 3日 (月) 01:05