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2010年7月 3日 (土)

おろしや国レトロスパイ事件考

先週のアメリカでのロシアスパイ大量逮捕事件、けっこう続報が出ましたね。すっごい美人スパイがいたり、「消えるインク」とか「短波ラジオ」とかのレトロな技術を使ってたり、報酬は現金、地面に埋めて二年後に別な人が掘り出す……とか、なんかもう、21世紀のフィクションじゃできないことばかり…… 現実ってスゴイなあ。陳腐さを恐れないからね。

美人スパイは他の国からも「スパイになりませんか?」とスカウトされたことがあるとか。スカウトってほんとにしてるんだ……。というか、スパイにスカウトする基準っていったい何?! まあ、すでにアメリカの高官に接近していたから「この女は使える」と判断されたというところか。

しかし、FBIは、彼らがどういう情報をキャッチしたとか、活動の実態とかを(こうやって発表した限りでも)相当綿密に把握してるし、それ考えると、実はそうやって泳がせといてもいいやと思われる程度の成果しか上がってなかったんじゃないかとも思う。たいした情報も漏れない、漏れた情報もFBIが把握している、逮捕しなければロシア側は「まだバレてない」と思い込んで活動を続ける、そうすればアメリカ側はその動きでかえってロシアの内情を把握できる……。だいたい、いかに美人スパイを高官に接近させたからと言って、キャッチできる情報なんかたかが知れてるんじゃないかとフィクション作りの人としては思う。そりゃ政府や官庁内の人事とかスケジュールくらいは把握できそうだけど、いかに美人に鼻の下伸ばした偉い人とて、女から国家機密に触れることに探りを入れられたらさすがに警戒するでしょうに……

冷戦時代と違って、今はイデオロギーで動く軍人や高官はいないと言われる。つまり、冷戦時代だったら実は思想的には共産主義者という人が西側を裏切るということはあったけど、今はそういう思想的な動機はなくなっちゃってる、と。あとはカネとお色気しかエサはない。でも、ハニー・トラップというのは昔から(古代エジプト時代から)ある手法だけど、あれって本当に効果あるのかねえ。リスクを取らないでいい思いをしたいと思う男は多いだろうけど、何らかの危険を冒してまでオネエチャンに入れあげてしまう男なんて、そんなにいるのか……?

フィクション作りとしてはどうしてもこのあたりがひっかかるので、小説にハニー・トラップというものを取り入れるのを躊躇してしまう(なので、短篇の「空忘の鉢」で一度やっただけ)。お色気でスパイ活動って……なんか、安っぽい小説みたいじゃん。小説を書くのに小説っぽいのを気にするのはヘンと思われるかもしれないけど、実はこれは重大な問題だったりする。

フィクションって、現実に起こらないようなことが何でもできると思われてるフシがあるけど、実は意外な縛りに満ち満ちている。作品の中では猟奇的な事件はいくらでも起こるのに、差別用語を口にする登場人物が全然いないのもフィクションならではの縛り。

いずれにしても、フィクションの場合でも現実の場合でも、一般人に身をやつしたスパイを何十人も何年にも渡ってアメリカに住ませるより、アメリカの政府組織でそれなりに出世できる人間を一人か二人潜入させておくほうがよほど現実的でしょうね。今回の一般市民型スパイの作戦って、実はムダにロシア国民の血税を浪費していたような気がしてならない。

SVRもお役所っちゃお役所なので、いったん予算がついちゃったらやめられなかっただけだったりして……

このテの報道に反応しやすいのは『エロイカより愛をこめて』のファンだからしょうがないんですが、もうそろそろ別な理由があることに感づいた人もいることでしょう。……ええ、その通りです。ペンディングになってる原稿があります。『赤い星』より前に書き始めて止まっちゃってる長編が……orz

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