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2010年3月 5日 (金)

徳間文藝賞2010(日本SF新人賞休止)

とりあえずSF作家クラブの総会と授賞式に行ってきました。ぱーちーとかニガテなので二次会とか出ないでさっさと帰っちゃうんですけどね、いつも。

今年は大藪春彦賞も二人、SF新人賞も二人、SF大賞は特別賞あり、という状況のためか、授賞式は例年になく参加者が多く、あというまに食べ物が消えてました。どうにもわさわさした会になってしまいましたが、受賞者の皆様おめでとうございます。

で、ここで発表されちゃったんでもう解禁ということで、書きます。SF新人賞は今回で終了だそうです。現在、SF作家クラブのほうで新人賞についていろいろ検討する会を作って対策を考えてる最中ではありますが……

ただ、SF新人賞、小松左京賞の受賞者たちの話を聞いてると、正直、どうにも考えが甘いのが気になります。いったん賞を取っちゃったらなんか明るい未来が開けていて、あっちこっちから依頼があって、書いたものは本になるはず、と思ってないか君たち? 賞なんて、いったん取っちゃったら過去の栄光で、もうそれは忘れて本になるかどうかも分からない原稿を書く日々がまた始まるだけなのだよ。一冊本を出しただけで「待望の王子様・お姫様」になれるわけじゃなくて、単に「とりあえず宮廷に出入りできるようになった騎士見習いの馬丁」になっただけなのだよ。どんなに偉い先生方でもそういう段階を経て、それでもみんな書き続けてきたのだよ。そういう努力をしてるのか?

ジャンル外の人に「どうせSF新人賞なんて『作家』は出てこないでしょ? 一発屋ばっかりじゃん」と言われてしまったことがある。確かに定着率はすごくいいとは言い切れない。受賞後書いてない人も多くないかい? まあ私が知らないだけで、出せるかどうか分からなくても書いてる人もいると信じたいけど。

賞という入れ物に存在していて欲しいという気持ちは分からんでもないが、そうだったら、受賞者自身がその賞を栄光あるもの、存在意義のあるものとすべく活躍するしかないのよね。というか、受賞者が栄光を作らないと賞は権威のあるものとはならない。私のように賞というゲタをはかせてもらったことのない人間には、どうにも歯がゆい。

でも今現在、ファンタジーノベル大賞までもがなくなってしまったわけではないので、志望者にとっては絶望という状況ではない。北野勇作さんとか、藤田雅矢さんとか、私とか、浅暮三文さんとか、山之口洋さんとかがデビューした頃なんて、そもそもSF・ファンタスチカ系の人の行き場がなくて、いみじくも山之口さんが表現したように「ファンタジノーベル大賞が駆け込み寺だった。賞と自分の傾向が合ってるかどうかなんて考える余地はなかった」てな時代だったんだし。それでもみんな書いてたし、書き続けた……。誰もが「カネになる作家」になったとは限らないけど、各自それぞれに存在意義のある作家になったのは、「それでも書き続けている人」だけです。

SF新人賞の出身者にも、それは分かって欲しい。

いつの時代にも、事態ってのは流動するものなのだから、もう受賞しちゃった人たちは、いったん過去の賞の栄光は忘れて、いつでもゼロから書き始めてほしいことです。

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コメント

>SF大賞は今回で終了だそうです。
「新人賞」ですよね。
大賞はつづきます。

失礼いたしました。タイトルと内容は正しいのにそこだけヤッてしまいました。こっそり(嘘)直しておきました……

ま、どんなにええとこの大学を出ても、「○○大学卒なんだ。すごいねー」なんて言われるのはせいぜい一、ニ年ってとこですよね。卒業生が活躍しないと「○○大卒」の肩書きは権威あるものにならない。賞を出した側や出版業界に「せっかく○○賞を取ったのにアフターケアが無い」と不満を言うのは、「ボクは○○大卒なんですよ。○○大卒にふさわしい扱いをして、ふさわしい仕事を与えるべきです!」って就職先に言ってるようなもの。賞側対する要望なんか考えてるヒマがあったら、小説書いて欲しいもんです。

 twitter で、森下一仁さんがこのように報告しておられるので、一応、はっておきます。
 " 日本SF作家クラブの事務局長・井上雅彦さんは「日本SF新人賞は、これで第一期を終了しますが、いずれ第二期新人賞をスタートさせる予定です」と、将来への希望をアナウンス。 "
 http://twitter.com/morishitakat/statuses/10022693137

 あと、
 > 小松左京賞の受賞者たちの話を聞いてると

 私は、小松左京賞受賞者として高野さんと直接お会いしたことはないし、これ関連の話をしたこともないのですが、この「小松左京賞受賞者たち」というのは、いったいどなたのことを仰っているのでしょうか。私は、彼らとの交流で、高野さんが仰っているような

> 正直、どうにも考えが甘いのが気になります。いったん賞を取っちゃったらなんか明るい未来が開けていて、あっちこっちから依頼があって、書いたものは本になるはず、と思ってないか君たち?

 のような事柄や印象を、その交流の中で感じたことは、ただの一度もありません。
 何かにつけて親交のあった私よりも、高野さんのほうが事情にお詳しいということですか? すごいですね。尊敬致します。

まあ私に嫌味を言うのは結構ですが。

ここで実名をあげて「この人がこう言った。こういう考え方は甘い」とあげつらえということでしょうか? いくらなんでもそれはどうかと思うのですが……

ああ、でも、かつてネットなんか無いも同然の時代は、新人賞とか取っても小説を書くぐらいしか表に出る機会は無かったし、新人賞取ったらこの先続くかどうか分からなくてもSF作家クラブに入れてもらえたりしなかったので、新人の意見そのものが世に出ることがなかったんですよね。でも今は、まだ一冊書いただけの状態で「作家として」発言できる場があったり、ネットやメールで意見が表明できるようになってるので、まだ経験の少ない状態の意見が外に出てしまうので「今の新人のほうが考えが甘い」という印象になっているだけかもしれけません。かつての新人だって、もしかしたら今よりもっと甘い考えだったけど、それを表明する機会がなかったからパレないで済んでただけかもしれないし。それを考えたら、ネットのない時代の新人のほうが印象的にトクをしちゃってて、最近の新人のほうがわりを食っている可能性はありますね。

> ここで実名をあげて「この人がこう言った。こういう考え方は甘い」とあげつらえということでしょうか? 

高野さんは、プロの作家なわけですよね。
その立場で相手の名前を伏せたまま「小松左京賞受賞者たち」と発言すれば、過去の受賞者全員に対して、記事内に書かれていることを言ったのと同じことになります。
(そのあたり、ご理解頂ければと思います)

でも私は、直接的な彼らとの交流からはそういう印象はなかったなあと感じたので、事実を書かせて頂きました。ただそれだけです。しかし、それが違うというのなら、高野さんは私よりも「小松左京賞受賞者に対する情報通」なわけで、素直にすごいなあと思うわけです。

それを「嫌味」と言われると、ちょっと困ってしまうわけですが。

あと、ネットの話が出ましたが、私の知る限りでは、SF新人賞と小松左京賞の受賞者で日記などを全公開している方は、かなり限られますね(小松左京賞受賞者の場合、本が出ている受賞者でブログを全公開しているのは私だけです)
私は、SF新人賞関係の方のブログにも目を通していますが、高野さんがお書きになっているようなネガティヴさというのは、感じたことがありません。努力している方なら、たくさん存じ上げておりますが。

けれども、それ以上のことを高野さんがご存知だというのなら、やっぱり、すごい情報通だと思います。

作家として先輩にあたる高野さんから見れば、後続の作家のことは何かと気になってしまうのでしょう。そのあたりのご心配はよくわかります。

追記のようになってしまいますが、私自身は、高野さんのご活躍はデビュー時からよく存じ上げております。ご著書も何冊も所蔵しております。そのうえでの発言であることを、ご理解頂ければと思います。

あ、情報が抜けていました。
小松左京賞受賞者では、平谷美樹さんも数年前からブログを始めたのでした。
数年前ですから、多数の著作が世に出てからの行動で、内容も、日記と言うよりはニュース主体ですし、管理しているのは別の方ですが。

当方、関係者です。上田さん、高野さんがおっしゃっている受賞者達の話というのを、受賞者達から直接聞いた話と限定して受け取っておりませんでしょうか? 山手線の話と言った場合、普通は山手線についての話と考えます。山手線から聞いた話とは思いません。これは受賞者達についての話という意味だと思います。確かに高野さんが受賞者達と接している様子はありません。

ここで高野さんが、関係者から聞いたことだ、出版関係者から聞いたことだと書いたらどうなるでしょうか。選考委員が受賞者達への不満を言いふらしているのか、担当編集者が言いふらしているのか、ということになりますでしょう。高野さんの情報源についても当方も見当がついております。それについていっさい触れなかった高野さんの配慮を理解すべきです。

高野さんが、自分達の世代も愚かだったかもしれないと穏やかに引き取ってくれた配慮にも感謝してほしいです。上田さんがこういうつっかかり方をすると、新人世代の愚かさを証明することになります。

cさんへ。
関係者であるということでしたら、ここだけでなく、私のほうへも直接ご連絡を頂けないでしょうか。私はブログで連絡先を公開しておりますので、メールでやりとりができます。あるいは、作家クラブ経由で連絡を下さい。

これ以上は、高野さんのブログでやりとりすべきことではないと考えます。私は高野さんにつっかかっているわけではなく、自分が知っている事実を補足したかっただけなので、これ以上のことは、お手数ですが、当方と直接やりとりして頂けないでしょうか。

よろしく、お願い申し上げます。

あと、高野さんのほうからも私に何かございましたら、それも、作家クラブ経由でお願い致します。

いや、上田さんがご意見を書かれたから応答したまでで、私からはぜんぜん何もないです。

まあ意見なんて交換してナンボなんで、皆様、別にここに書かれてかまいませんです。

ご寛容、感謝致します

私は上田さんのように堂々と意見を表明される方を尊敬します。私のようにファンダム経験もなければ、同じ賞の出身者たちと連動して何かを成すような経験もない者は、賞関係のこととか後進の育成とかに全然貢献しない立場になってしまうので(まあぶっちゃけアウトロー、組織には必要ない人というか)、早いうちから上田さんのように積極的に活動される方は応援したいです。

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