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2009年11月28日 (土)

ロシアの鉄道テロの小説を書いてる最中に……

ロシアで特急列車脱線、犠牲者多数 テロの可能性大と鉄道当局 

モスクワ(CNN) ロシアのセルゲイ・ショイグ緊急事態相は28日、首都モスクワからサンクトペテルブルクに向かっていた旅客列車が27日夜、脱線事故を起こし、少なくとも25人が死亡したと述べた。

警察は、線路の下に爆発でできたような穴が開いているのを見つけ、脱線との関係を調べている。ロシア検察庁は、テロとの関連性の捜査を開始していた。一方、鉄道当局は線路保守などに異常がなかったかも点検している。

ネフスキー・エクスプレスは2007年8月にも線路上の爆発で脱線する事故が起き、60人が負傷している。この時は当局がテロと断定した。

第一報を聞いたときは一瞬、〈サプサン〉がやっちまったのかと思ったけど別な列車。しかし、実を言うと私はモスクワ~ペテルブルク間は飛行機か古っちい〈赤い矢〉号しか知らないので、〈ネフスキー・エクスプレス〉とか〈サプサン〉とかの実物を知らないのであった。今、モスクワ~ペテルブルク間って、何本線路があって何が走ってるんだ。少なくとも、帝国時代やソ連時代よりややこしくなってるのは間違いないと思うけど。

ロシアはあの通り、国土の面積がハンパないので、19世紀から鉄道の開発には力を入れてきた。シベリア鉄道をヨソの国のお金で作っちゃって面倒なことになったのは周知の通り。でも、そこまでしてでも鉄道網を充実させないと国の運営自体危うくなりかねなかったというのも分かる。

だもんで、皇帝もかなり鉄道で移動した。しかも、西欧と違って「なんにもない」ところをお召し列車が走る時間が長かった。

ってことは、テロの標的になり易いわけですね。何しろテロリストは、誰も見てない、なーんにもないところでテロの準備ができたわけで。

てことで、1970年代以降、歴代皇帝に対するテロは鉄道で何度も何度も試みられて、一種の伝統になったとも言える。ソ連時代も表沙汰にならなかっただけで、誰かやってたとしても不思議ではないけど……

今、アレクサンドル三世時代の鉄道テロ計画の話を書いてるところで、ちょうど主人公の一人がテロに加わって計画を練るところにさしかかったので、こういうニュースはなんか直に嫌な感じだ。かといって、テロでないことを祈っていいのかどうかも迷う。鉄道の管理が悪くてここまで大きい事故が起こったのだとすれば、それはそれで問題だし。

小説を書いてる途中にそれに関連した何かが起こるという体験は、ジャンル問わず、プロアマ問わず、小説を書いてる全ての人に起こっていると思う。小説って結局、「何か」に「書かされている」のかもと時々思う。……それが売れるかどうかはまた別な問題だけど

2009年11月27日 (金)

「ウイグルからきた少年」

渋谷のUPLINKで公開されていた佐野伸寿監督の第32回モントリオール世界映画祭公式招待作品「ウイグルから来た少年」上映&トークショーを29日にUPLINKでやります……って、情報が遅いですよね すんませんorz

トークショーの出演は佐野伸寿監督と東京シネマ新社代表の岡田一男さん、そして井上徹です。佐野さんは、在カザフスタン日本大使館時代の井上の同僚なんですよね。でも自衛隊の人。カザフでも自衛隊から出向していたらしい。どういうシステムなのかよく分からない……。大使館付き武官っていうのとも違うのか……? そして映画も撮ってるし……よ、よく分からない 茨城の田舎から東京に来て驚くのは、ナゾの経歴の人とか、ナゾの仕事で生計を立ててる人がたくさんいることだけど、佐野さんも岡田さんも(そして井上も)それ系の人です 少なくとも三人とも中央アジア滞在の経験があり、現地のこととか映画のこととか精通している人たちなので、面白い話が聞けそうです。

で、井上は来週はなかなか忙しくて、12月1日は東京外語大で講演します。テーマは「ロシア・東欧アニメの魅力」。司会は沼野恭子さん。2日は川崎市民アカデミーで「ソ連映画史」。後者は会員制というか、事前に登録した人が連続して受ける講義なので飛び入り参加はできないようですが、前者はサイトにも「入場無料」って書いてあるくらいだから、大学関係者でなくても聴講できるようです。いずれにしても、いらっしゃる皆様、よろしくお願いしますです。

2009年11月25日 (水)

ロシアの民よ、思い知るがよい

モスクワ中心部に「ユニクロ」ロシア1号店 来春オープン

ファーストリテイリングは24日、カジュアル衣料品店「ユニクロ」のロシア1号店「ユニクロ アトリウム店」を来春、モスクワ中心部にオープンする、と発表した。開業日などの詳細は今後詰める。

ほっほっほ。ロシアの民よ、ヒートテックとフリースの暖かさを思い知るがよいぞwww

多分、出展自体はもっともっと前から考えてたと思う。ただ相手がロシアだから進まないだけでw 秋までずれ込むに一票。

2009年11月23日 (月)

そういえば「天地人」最終回

「坂の上の雲」の放送があるということもあって早々と終わっちゃった「天地人」、しみじみした最終回のつもりだったのかもしれないけど、だらだらしてて死にそうだった。いずれにしても、石田三成が死んだ時点でワタシ的には終了でした。

でも、戦国時代の人間関係、ちょっと分かったw どうでしたか、いかちょーさん? でも多分私は、日露戦争とか幕末とか見てるうちにまた忘れますw

2009年11月22日 (日)

Russian caravan続報

ちょっと前に書いたRussian caravanの続報。

結局、フランスのKusmiの「サモワール」という紅茶を買う。クスミチョフは革命時にフランスに亡命したロシア帝室御用達紅茶商。今でも会社は続いていて、フランスで高級っぽい紅茶を売っている。日本にはほとんど入ってきていない。でもネット時代だから、日本で輸入している業者を見つけることもできるし、フランスから直接買えたりする。しかし……フランス……送料がハンパない フランスは郵便を民営化して失敗した例とさんざん言われるけど、確かにそうかもね アマゾンがどんだけありがたいかよーく分かりました。

結論から言うと、以前フランスで飲んだのと同じではなかった。いやしかし、このがまたなんとも言えないシロモノw ラプサン・スーチョン強めで燻してある。ケーキやクッキーとともに飲む紅茶ではない。飲んでいると荒挽きソーセージとかチーズとかコンビーフとかが食べたくなる紅茶なのだ! 酒の肴に合う紅茶w 多分、ピータンとか焼き鳥もいける。

夫に出したら、「そういやカザフスタンに住んでたころ、こういう紅茶フツウに飲んでた。こんな高級な感じのじゃなくて、もっとフツウの日常的なやつがいくらでもあった」だそうです。そうか……やっぱりあるんだ……。私はロシアでは、いかにも観光客が来そうなホテルとかでしか紅茶を飲んだことがなかったので知らなかった。友達のうちで飲んだのも普通の紅茶だったし、テラ・ファンタスチカ社では緑茶が出たし(!)。

クスミ・ティーはその他にも、いろんなフレーバーティーを売っている。飲んでみたけど……こっ……これは……。どうりで日本に入ってこないはずだ…… まず間違いなくほとんどの日本人の好みには合わない。私はけっこう気に入ったけど、毎日はムリかな クスミはスモークド・アールグレイなんていうのも売っている。どんなだろう……

これを飲んだ後、中華三昧の坦々麺を濃い目に作って食べたら妙に満足しましたw 坦々麺に合う紅茶w

2009年11月19日 (木)

大雑把@ロシア

って、「いつものこと」と言えばその通りですが……

温室ガス「25%削減」表明の露、実態は1割増

【ブリュッセル=尾関航也】ロシアのメドベージェフ大統領は18日、ストックホルムで行われた欧州連合(EU)との首脳会議で、温室効果ガス排出削減の中期目標について、2020年までに1990年比で22~25%削減を目指す方針を表明した。

ロシアの排出量は、ソ連時代の旧式の各種工場が90年代に軒並み閉鎖された結果、現状で90年を34%下回る。このため「25%削減」は現状より増えることを意味し、鳩山政権が掲げる「25%削減」が、現状との比較で30%以上の削減となるのとは異なる。

違う、違うからw 計算してから言おうよwww>ロシアの中の人

バローゾ欧州委員長は、「非常に心強い」と歓迎の意を表明した。

……………………。

ヨーロッパの中の人も計算してから言ってくださいorz

2009年11月16日 (月)

機械に(とっても)嫌われる私

くっ……。またホームページビルターのファイルが文字化けしてしまったorz もう過去の日記はどうでもいいけど(小ネタが使いまわせなくなるのでむしろ取っておきたくないw 人生の経験値が低くて自慢になるようなネタの少ない人間には、ネット日記なんか一定の時間が経ったら流れるくらいでちょうどいいのだ)、トップページからして更新できないっていうのはいくらなんでも……

夫に相談したら、UTFがどうのことのと、とても同じ地球上の言語とは思えないナニゴトカを言い出した。原因は分かるけど、ホームページビルターをどういじったら解決するかはちょっと調べてみないと分からないらしい。そもそもホームページビルダーって、HTLMとか全然分かってなくても、アプリケーションの言うとおりにテキストをベタに入力して画像貼り付けたりしてサイトができるというシロート向けのアプリケーションなんだけどな……。今までその通りに使ってきただけなんだけど……。数ヶ月放置して久しぶりにトップページのファイルを開いたら文字化けしてたのです。ウイルスチェックはまめにやっているのでそれは問題なさそう。

とりあえず今日は放置。

そしてメーラーとサーバが時々、国交断絶状態になる件について。以前にも突然そういう状態になって、一時期大丈夫になったけどまた突然問題が発生。メールを送ろうとしても送れなかったり。相手先に同じメールがニ、三通届いてたり。

はっきり言ってパソコンは「使いこなして」はいない。ただ使ってるだけだ。原理が分かってるところなんてほとんどないよう。でも、だからこそヘンなことしないようにして使っている。なのに、昨日まで何の問題もなかった昨日が、何もしてなくて昨日と全く同じように使おうとしたのにダメになってるなんて、そんなのありですか?

最近でこそCTやMRIを壊すことはなくなったけど(って、ただ単に私に使った後どうなってるのか私が知らないだけかもしけないけど)、自分が乗った飛行機が落ちてないだけ、まだありがたく思うべきなのか……

2009年11月15日 (日)

秋の萌え写真頒布会

T02200159_0450032510209208053 メドベージェフ大統領とオバマ大統領がシンガポールで会見したそうですね。

で、期待通り、こんな写真が。

メドベたん……かわいい、かわいいよ。萌ゆるw

2009年11月10日 (火)

テロリストに捧げるナショナリズム映画

って言ったら身も蓋もないんですがw

さっき「なんでも鑑定団」を見ていたら、今、茨城で桜田門外の変を映画化しようとしている人が出ていた。

公式サイトはこちら「桜田門外ノ変」。しかし、右クリック禁止のサイトづくりはいかがなものか。コピペできないとめんどくさがって紹介しなくなるブログは山のようにあるはず。こういう詰めが甘いところもいかにも茨城だな 私も内容を紹介するのは面倒だからやめた。

水戸藩士が熱く燃えた日々を描くのだそうで。って、桜田門外の変ってテロ事件じゃん 司馬遼太郎が例外的に評価しているというけど、でもテロ事件だし。っていっても、水戸を始めとして、常陸の国の藩士・浪人は幕末テロのほぼ全てに参加しているといわれている。茨城の幕末にテロは欠かせないのだ。嬉しいかどうかは別として

2009年11月 8日 (日)

Russian Caravan

井上がグルジア映画の講演をして、グルジアの研究者を交えて親睦会をして帰ってきた。親睦階はグルジア料理。「何が出た?」と聞いたら、妙に口ごもった。「何とも説明のしようのないモノが出てきたでしょ? 美味しいけど説明がすごく難しいシロモノ」と言ったら、諦めたように「……うん」と。そう、グルジア料理って、説明しても分かってもらえないのよね。「小豆のようだけど小豆の味がしない豆」とか「カッテージチーズのようなヨーグルトのようなクリームのような乳製品」とか(だから分かんないって)。

それとは別な話をしようと思っていたのだった。

むかーーーーーーーし、フランスでナゾの紅茶を飲んだことがあった。今はもう無いサロン・ド・テで、お品書きに「テ・リュス」と書いてある紅茶があったので、これは一体何すかとお店の人に聞いたら、ロシア風の紅茶だという。いや、それは書いてある通りじゃん。そうじゃなくて……。どういう味?と聞いても、だからロシアなフレーバーの紅茶だってば、と言われて、さっぱり分からない。もうええわ、自分で飲んでみるわい、と思って注文。出てきたのは、何ともレトロな感じのスモーキーな味わいの紅茶。

美味しいかと言われると、正直、微妙 不味いというわけでもないんだけど、とにかくレトロ。じゃ、昔そういう紅茶を飲んだことがあって「レトロ」と言っているのかと聞かれると……ううう……知っている味ではないんだけど、どうしても「レトロ」という感想になってしまう。そういうナゾの味だったのだ。

あれは一体なんだったんだろう、と思いつつ、ちよっと調べても出てこなかったので放置しているうちに忘れていた。ネット時代だったら検索したらすぐ分かったんだろうけど。

で、すっかり忘れていたのだけど、別件を検索しているうちにRussian caravan black teaというものがあることを知った。

「むかーーーーーーーし、中国からお茶の葉を運んでくる時、長い時間をかけてシベリアを越えている最中に、お茶はキャンプの炎にいぶされ、ラクダの匂いがついた」のだそうです。ラクダの匂いって…… で、ロシアの皇帝が好んだらしい。  

今はさすがにラクダで香りづけはしてなくて、ユンナン茶とかラプサン・スーチョンとかのブレンドで再現しようとしているらしい。ラプサン・スーチョン……。あの正露丸みたいなお茶でしょ~? 今でも作っているメーカーは幾つかあって、かつてはトワイニングも普通に売っていたそうだけど、今はオーストラリアでしか売っていない。トワニングが手に入らなくなってから他のメーカーを試しているイギリスやアメリカの人たちは「でもやっぱりトワイニングが一番」と言っているようだ。

まあこんな時代ですんで、ネットでオーストラアから手に入れられるサイトはすぐに見つかったけど、さすがに125g入りの缶をいきなり買う勇気ないなあ……。米アマゾンでは他のメーカーのものが手に入るけど、米アマゾンの紅茶はいきなり6packsなのよねえ。10pティーバッグを一個から売ってくれるサイサもあるけど、その何倍もの送料をかけて買うのも萎える。

とりあえず、テ・リュスの正体が分かっただけでもよしとしよう……。購入はペンディング。ちなみに全然関係ない話だけど、そのサロンの兄さんはちょっとへんなひとで、妄想小説を自費出版して売っている人だった。つい買って読んでしまったけど、文学的価値はともかく、思いっきし妄想でした……。売る時、兄さんは「これは本当の話なんだ。とてもおかしなことが書いてあると思うかもしれないけど、本当なんだ。僕と最愛の恋人の本当の思い出なんだ……」と、やけに私を説得しようとしたんですけれどもね。いやウソだとは疑ってないよ。妄想ですから……。ちょっと損した気がしたので『アイオーン』の「慈悲深く地合いあまねきアッラーの御名において」でネタにして元を取りましたけどw

それにしても、なんでオーストラリアの人はRussian caravan好きなんだろう? それはロシア皇帝と好みが一緒という結論でよろしいんでしょうか?

2009年11月 6日 (金)

歪んだ思考

米陸軍基地で銃乱射、12人死亡31人負傷…犯人は生存

【ロサンゼルス=飯田達人】米テキサス州中部のフォートフッド陸軍基地内で5日午後1時半(日本時間6日午前4時半)ごろ、兵士による乱射事件が発生。

居合わせた兵士ら12人が死亡、31人が負傷した。基地当局者によると犯人も負傷し、治療を受けている。

AP通信などによると、乱射したのはマリク・ナダル・ハサン少佐(39)。犯行時は軍服姿で、軍用拳銃2丁を使ったとみられる。同少佐は精神科担当の軍医で、近くイラクかアフガニスタンに派遣される予定だった。精神的に不安定だったとの情報もある。

で、今ごろ、モルダーとスカリーがフォート・フッドのゲート前で門前払いされてるわけだ。夜、モーテルにいると、地元警察か軍内部の関係者から接触がある、と。

単発モノでよくある異常心理モノかもしれないけど、場所が軍事基地、しかもテキサスであることを考えると、「神話」につながる話かもしれない。犯人がアラブ系で異常心理モノというのはさすがにクリス・カーターはやらないと思うので、その立場を利用され、シンジケートに心理操作を施された設定か。

空軍基地じゃないってことは、「テキサスに堕ちた何か」ではなく、「アフガニスタンもしくはイラクから持ち帰られた何か」がそこにある設定(でも場所がテキサスなのは重要)でしょう。最初は射殺されたと報じられた犯人が生存ってところもミソ。もしかしたらこの少佐は、次のシリーズで再登場してモルダー&スカリー側に立つ重要な役回りを演じるかも……?

と思ったのは私だけではないはずだ。

2009年11月 1日 (日)

なんでロシアの作家はすぐリアリズムって言うんだ?

昨日、早稲田の露文の「ロシア的主体の系譜」プロジェクト研究会に混ざってきました。ロシア語ほとんど分かんないのに参加してるワタシ 今回はスラブ研究所から友達が来たり、井上が発表者の一人だったりしたから行ったのです(言い訳)。

私にとって一番衝撃だったのが、創価大の寒河江光徳(さがえ・みつのり)さんの研究報告「メタフィジック・リアリズムについて -マムレーエフ・エロフェーエフの作品を読みながら」でした。まずタイトルからして大衝撃。

え……? 

何?

メタフィジチェスキー・リアリズム?!

それって最初から「リアリズム」じゃないんじゃ……

ってフツウ思うよね……

話を聞いてみると、作品自体は何というか、やっぱり「ファンタスチカ」なのよね。特に、詳しく紹介されたマムレーエフの「微の世界へのロシア的遠征」は、ストーリーもぶっ飛んでて、物理的・時間的にありえないことを縦横無尽にやりまくって、なんか放り出されたように終わってしまう。「理性至上主義」も否定されちゃってるし。でも、こういう作品を書く人たちが、自ら「なんとかリアリズム」を名乗るのがロシアの不思議なところ。「リアリズム」って何だ?

社会主義リアリズムってのは分かるし、整合してると思う。でもロシアの作家って、非現実的なファンタスチカを書いて何とかリアリズムと名乗ることが多いのよね。「ターボ・リアリズム」が流行った頃って、結局「ターポ・リアリズム」の作品を読んでも人に説明されても分かんなかった(私だけじゃないらしい。説明してるほうも結局よく分かってなかったし)。ロシア人の考える「リアリズム」って何なんだ? ということを報告後に質問してみたけど、露文の人たちも案外そこまで突き詰めていないらしい。っていうか、露文における「リアリズム」という言葉が当たり前になり過ぎちゃってるのか? 私みたいな部外者にはもーのすごーく気になるんですが。

で、その後の討論と、帰りに井上と話して見えてきたことがある。要するに、ロシア文学でいう(ひいてはロシア的な)「リアル」というのは、「表象の向こう側にある真実」みたいなもののことではないだろうか。そして文学でいう「なんとかリアリズム」の場合、非現実的なストーリーや描写を用いても、その向こう側にある「リアル」を表現しているのだから「リアリズム」なのだ、ってことなんじゃないだろうか。

ロシアのファンタスチカ作家たちは、「オレたちは非現実的な道具立てを使っているが、それは非現実的なものを描くためじゃなくて、『リアル』を描くための手段だ。たからオレたちは『幻想小説』を書いてるんじゃなくて『リアル』を描いているのだ」と言う(特に宮風耕治さんが向こうの作家たちと交流した時の話で聞いたこと)。要するにロシアにおける文学上の「リアル」ってこういうことなんでしょうね。だから「グロテスク・リアリズム」は「グロテスクをリアルに表現する文学」ではなく、「グロテスクを通して語られるリアルの文学」。「メタフィジチェスキー・リアリズム」は「メタフィジックな物語によって表現されるリアルの文学」。

って、要するに、西欧中世の普遍論争における「実念論」じゃないですか。「実念論」って元のラテン語は「realismus」ですよ。

そして、何故ロシアの作家がすぐに何とかリアリズムと名乗りたがるか。これは亀山さんがよく言うことにヒントがあるかもしれない(亀山郁夫さんと佐藤優さんとの対談でも言ってた)。曰く「ロシアでは詩人は尊敬されている。何故なら、彼らは真実を語るから。でも作家は『おはなしでウソをつく人たち』。作家が自分の本当の思想を以って小説を書くとは限らないからあてにならない(だからドストエフスキーの小説に現われる思想がドストエフスキー本来の思想であるとは言い切れず、小説を分析して『ドストエスキーは最後まで社会主義者だった』とか『実は無神論だ』とかの結論を出すことはできない、という話につながる)」。確かに、ロシアでは詩人って妙に尊敬されてるのよね。オクジャワやヴィソツキーは賞賛される時、「素晴らしい歌手」ではなく「素晴らしい詩人」と必ず言われるし、プーシキンも「素晴らしい作家」ではなく「素晴らしい詩人」と言われる。詩人は体制に反発してでも「真実」を詠うと見なされているけど、作家は「一見体制に迎合的で検閲を通る作品を書いていながら、実は裏読みできるようなやり方で舌を出す」と思われている。やはりどうしても作家より詩人のほうが「上」になっちゃうのよね。だから作家の側も、自ら「真実を語っているのだ」と名乗りたくなって、それですぐに「なんとかリアリズム」って言い出すんじゃないだろうか。

実際、亀山さんが「詩人は真実を語るけど、作家はホラをふくからあてにならない」という時、「おいおい、私は確かにホラを吹いているという自覚はあるけど、それは真実を語るためにホラを吹いとるんじゃ 文学を研究する人ならそこまで考えてくれ」と思うし、実際、言ったこともある。……まあ、でも、「ドストエフスキーの作品を解析して彼が社会主義者だとか違うとかいう話はできない」的な「あてにならなさ」が自分にもあることは認めますが。でも、「おはなしつくり」のために全面的にホラを吹いているわけではない。やはり「語るべき真実」があるからこそ書いているわけで、だからこそホラを吹いているわけなんだけど。日本人も亀山さんみたいな人ばっかりだったら、わたしもやっぱり「なんとかリアリズム」を名乗るかもしれない……。っていうか、『赤い星』のロシア語版が出てからロシアで「私は○○リアリズムなんだーーーーー!!」と叫ぶかも……

なにリアリズムにするか、今のうちに考えとこう……

研究会の後はサイゼリヤで飲み。14人でワインのマグナム瓶4本を空ける。ワインをつまみにビールを何杯も飲む人も。さすが露文だ……。フランス史はここまで飲まないっす 部外者を快く混ぜてくださった皆様、ありがとうございます。

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