脱力潜水艦映画
旧ソ連系脱力映画キターーーーーーーーーーー!
こないだ、井上と「ピリペンコさんの手づくり潜水艦」の試写に行ってきました。もう、このタイトルからしてじわじわ来るでしょw? どんだけ手錬の脱力映画作家の作品かと思いきや、実はこのピリペンコさんは実在の人で、映画はドキュメンタリー! 舞台はウクライナだけど、撮ったのはドイツ人。ヤン・ヒンドリック・ドレーフスと レネー・ハルダー。
何年か前、ネットの海外脱力ニュースで「自作の潜水艦で黒海に潜ったおっさんがいる」というニュースを見た時、自作潜水艦の人って何故かヨーロッパにはけっこういるけど、ついに旧ソ連からも輩出されたか、と驚いたもんです。こういう人たちっていったいどういう生活してて、どうやって自作トホホ潜水艦なんか作ってるんだろう、と思ったけど、「それ系の人」ではなく、まさにその黒海に潜ったその本人のドキュメンタリーでした。知りたい、と思ってたけど、思わぬところで知れてしまいましたwww
山というより「でっぱり」さえ無いウクライナの平原で、魚を養殖したり、自給自足程度に農業したりして夫婦で暮らしている年金生活者。しかしてその実態は自作潜水艦の人であった。もう、ドラマチックな展開もへったくれもなく、ぬるく潜水艦作って、魚を養殖してる池(けっこうでかい)で試運転して、おっさん友とトラック借りて野宿しながらクリミア半島に行って、ぬるい見物人がいるだけでマスコミにも注目されないまま黒海に数十メートル潜水するだけの話。
でも、いかにも感動させるような展開はないものの、私が「この映画の肝はここだな」と思ったのは、黒海を前にしてピリペンコさんが「何だかうちに帰りたくなってきた」というシーン。一緒に行った潜水艦友のセルゲイが「もし引き上げられなくなったらどうする?」と訪ねると、ピリペンコさんは「そうなったら沈めて帰ろう」と答える。そして……
ああ、やっぱりそういうものなのか。分かるけど。何がどうなったのかは是非映画を見てください。ほんとにさりげないシーンなので見落とさないでね。
いやしかし、こうやって見ると、旧ソ連の内陸の人とかペテルブルクの人が黒海に憧れる気持ちがちょっと分かりますね。「似非トロピカル」みたいな感じw。初冬のペテルブルクの海は、手を突っ込んだらあっという間にあかぎれになりましたよwww。黒海への憧れは分かるけど、私には潜水艦への憧れが分かんないのよ。黒海で泳いでみたい。一生に一度でいいからあの海でダイビングしてみたい……とか思うのなら分かる。でも何故、潜水艦……。2、3年前イギリスで自作潜水艦った人なんか、何処だったか、全然キレイじゃない水に潜ってたし。何故、わざわざ危険な狭苦しい箱に入って沈まにゃならんのだ。水が漏ったりしないんだろうか……と疑問に思ってたけど、あ、やっぱり漏るのね 怖すぎる でも自宅のガレージで旧ソ連時代から潜水艦を作ってきたこの人を見ててちょっと分かったのは、潜水艦の魅力は「海+メカ」なところなんじゃないだろうか。しかもそれを自分で作っちゃう、っていう。
もう、何かっちゅうと犬とか猫とかガチョウとかが足元をうろうろしてて、音楽も期待通り脱力系。ゼッタイ見てね! すばらしい映画だよ! とは言いがたいものがありますがw、脱力映画好きには外せないかと。
秋に渋谷のイメージフォーラムでロードショウだそうです。もうロックスターが住む黄色い潜水艦も、原子力なのにバレンツ海から浮上できなくなる潜水艦も古い! 今は緑色の脱力潜水艦と、首相が乗り込む潜水艦の時代だ!
« 佐藤優 × 亀山郁夫 | トップページ | ぼくたち仲良し~ »
「ロシア・ソ連」カテゴリの記事
- キン・ザ・ザ見られます!(2018.03.01)
- オーケストラ・ディマンシュ 第42回演奏会 ガイーヌ(2016.09.25)
- 信じるか信じないかは、あなた次第です!(2015.12.31)
- 発売:書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国(2015.10.09)
- 予告:『書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国』(2015.09.08)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント