【SF大会 2009】T-con 2009 そのニ
(承前) で、「日本SFはいかに輸出されるか」の後、ヤナさんと井上がNHKのインタビューのためにちょっとその場に残り(テレビカメラを見ると、今でも「あっ、テレビ局だ!」のセリフが脳裏をよぎる(笑))、私は「サイバーパンクの部屋」へ。
ナビゲーターはとりにてぃ(井上が写真撮ってない、すんません)、パネリストは向かって右から巽孝之、小谷真理、高野史緒、菊池誠。場所はごらんの通り、座布団の部屋。お座敷サイバーパンク(笑)。
毎年恒例となったサイバーパンク企画は6年前にここでSF大会をやった時に始まったそうで、言わば「故郷に錦を飾る」ってやつでしょうか。そこにお招きいただいて光栄でございます。
中身はまず、ギブスン最新刊の『スプーク・カントリー』や、文庫化された『ディファレンス・エンジン』のこととか、チャイナ・ミエヴィルの最新刊『ペルディード・ストリート・
そんで『赤い星』の話。そもそも私はサイバーパンクっぽい路線を目指していたわけじゃなくて、デビューする前はけっこうフツウな、クラークを読んで育った人とかが書きがちな黒歴史原稿(笑)を書いていたのですが、皆様、失望されましたでしょうか(笑)。『ムジカ・マキーナ』や『カント・アンジェリコ』、『ヴァスラフ』、『赤い星』といったサイバーパンク路線の諸作品も、どちらかというと「クラシックも好きだし、テクノも好きだし、じゃ、混ぜたらもっと好きかな(笑)」とか「江戸も好きだし、ロシアも好きだし、じゃ、混ぜたらもっと好きかな(笑)」という発想ありき。『ヴァスラフ』も、80年代の青山円形劇場脚本コンクールの時点ではフツウにアンドロイドの話だったのでした。黒歴史原稿の話はもうカンベンしてください(笑)。いずれにしても私の小説はサイバーパンク/スチームパンクをやりたいぞ!」というところが出発点ではなかったんですよね。でも、世にサイバーバンクというフォーマットがあったからそこできたのかも。
最後は恒例の小ネタ。正直、ここらへんの記憶がほとんど無い……。自分の出番が終わって虚脱したからでしょうか。
てなわけで、「サイバーパンクの部屋」が終わった時点で、時刻はもう0時過ぎ。まだ一つ企画が残っているのです。ロシアSF企画ですね。
準備中に私が撮った写真なので、私は写ってません。井上がなんでこんなに資料っぽいものを広げているのか不明。
「ロシアSFは日本の夢を見るか?」 パネリストはヤナ・アシマリナ、高野史緒、井上徹。ロシアSF企画は毎年毎年、大野典宏さんが飛ばして、すでにその方面の知識がある人ばっかり相手にしているような企画になっちゃうので、たまにはぬるくゼロから説明するような企画がないとヤバイな、と思ったからやった企画です。現在「ロシアのハヤカワ書房」的存在となっているテラ・ファンタスチカ社の発足の経緯とか、ロシアの小さい出版社の出版システムとか(要するに、大きいレコード会社に流通・販売を委託するインディーズ・レーベルと同じ方式)、現在のロシアのSF系文学賞とか。最近はいわゆる「日本ブーム」も「ブーム」というより「定着」した感があって、日本のマンガとかアニメとかを普通にロシア国内で販売してほしいという要求が高まってて、テラファンもその事業に着手したところ(実はこの件に関しては水面下でアクチュアルにいろいろモメたり困ったりこっちが労力と資金を提供して助けたりやってるんですよ。いつかそれについてもSF大会とかで話せればなお興味深い企画ができるでしょう)。と、この話で問題が発生。私と井上がマンガのタイトルがよく分かんなくて、会場の人たちに助けてもらってどうにか話が進む。すんません無知で
しかし、どうも話が面白い方向に転がらない。毎年客席のウケは取れるので、司会に多少自信を持ってきたところだったんだけど……。そう、途中で気がついたんだけど、通訳を通して話をすると、ボケもツッコミもほとんど機能しなくなるのだ。そういやペテルブルクで通訳を通して公開インタビューされる側だった時も、どうも話が生真面目な方向に行っちゃってやりにくいなあと思ったんだった。それは結局、通訳を通すとボケもツッコミも機能しなくなるからだ。ああ……。って企画の最中に気づいても遅い っていうか、ボケとツッコミに頼る司会自体がどうなのかと。今後の課題でしょうか。
この企画の時に限らず、ロシアの人とは微妙に話が通じにくいと感じることが多々あるのも事実。具体的には説明しにくいんだけど……。双方とも誠実かつ真剣に話しているにも関わらず「ロシア人話通じねー!」と思うのよ(そういう世界に長年身を置いているから井上が辛抱強くて温厚になるのか(笑))。四半世紀以上日露外交に携わってきた日本人以上に日本語がうまいロシア外務省のえらいひとから、ほとんど日本人と会ったことのない友達んちのおばあちゃんに至るまで、なんか同じような話の通じにくさがあるのよねぇ。ロシア側から見ればくそー日本人話通じねーと思ってるのかもしれないけど。まあ、だからこそ「何か具体的な用がある時」だけじゃなくて、常日頃からコミュニケーションを取ったり、双方のマンガとか小説とかテレビドラマとか映画とかを見聞きするのが大事になってくるのかもしれません。本を数冊出すの出さないのでこんだけ面倒なんだから、サハリン2とか領土問題では、きっと世間の目に触れないところで死者が出ているであろう……日本側に。
これが終わったら、もう真っ白に燃え尽きて寝ました。ギョーカイ時事放談とかサイバーフォーミュラとか興味あったんだけど、力尽きた……
翌日は朝食の後、温泉に行って、閉会式を見物して、また蕎麦食って散歩して長距離バスで帰り。帰りのバスも爆睡でした。参加者の皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした。
で、結局、自分が出る企画とロシアの中の人の相手に終始しちゃって、あんまり他の参加者と交流できなかったのが心残りですね。もう、ちょ~余裕なかった……。来年はもうちょっとマシにやります。来年の大会は8月7日、8日で、場所は東京。ではまた来年~。
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