『宇宙へ。』試写
8月にソニー・ピクチャーズエンタテインメントが配給する『宇宙(そら)へ。』の試写に行く。
NASA設立50周年(2008年)記念にデンジャラス・フィルムとBBCが製作したドキュメンタリー映画。その設立当初からNASAは16㎜のカラーフィルムで映像記録を撮ってきたのだが、その未公開映像かなり含まれる。何が大変って、規格が違う放置されまくったフィルムの扱いが大変だったらしい。それをデジタル・リマスタ化して、大半が(当然)無音だった映像にそれらしいサウンドを足して臨場感を出したのだそうです。
「当時の関係者に今インタビューしました」みたいなパートは全くない。ただひたすらNASAのアーカイブ映像にナレーション。ソ連の宇宙開発には全く言及がなく、その無視っぷりが凄い。というか、NASAの惑星探査もカンペキ無視。ひたすら「NASAのロケットで宇宙に行った人たち」のドキュメンタリー。何しろ原タイトルが『Rocket men』だから。もう、直球でタイトルそのまんまの映画なのだ。
宇宙博(懐かしい!)やカール・セーガンの『COSMOS』(懐かしい!)放送時の日本IBMのCMで見たアポロ8号の打ち上げ~下二段の切り離しの、あの映像、あれもデジタル化したきれいな状態で見られます。事故ったマーシュリーの内部や、月着陸船の実験機がヨロヨロと飛んで落ちる映像など、見たことのないものも見られるし。ただロケットだけじゃなくて、その打ち上げを見ている人たちがいかにも70年代なファッションだったり、管制室でコンビュータが紙テープ吐き出してたり、管制官が仕事中に煙草吸ってたりするような、その時代の雰囲気も魅力。
ただ、月と地球の交信のタイムラグを取っちゃったのか、スムースなケータイの会話みたいになってたり、サターンの点火やチャレンジャーの爆発につけたサウンドが光と同時に発せられたりするあたりがなあ。井上が「宇宙の距離を感じなくさせちゃってる」と言ったけど、まさにそんな感じ。悪い意味でイマドキっぽい作りになってます。
エンドロールにゴスペラーズの歌が流れちゃうのも残念。歌自体は悪くないんだけど、ベタな泣かせる系の日本語の歌を持ってきちゃうと、何と言うか、NASAっぽさが薄れちゃうのだ。まあ、今さら『COSMOS』みたいな、科学者がシェフをやってるようなドキュメンタリーを作れとは言わないけど、もうちょっと現実的な重量感や宇宙の「遠さ」、NASAの「あなたの知らない世界」っぽさを感じさせて欲しかったところです。
とはいえ、必ずしも見たいものがベストなアングルで見られるとは限らないドキュメンタリー映像が語るものはやはり雄弁。やっぱりこれは、まずはスクリーンで見ておくべき映画ではないかと(DVDは当然買うとしても(笑))。以前に言及した「KGBシークレット・ファイルズ」の「スペース・ドッグス」と合わせて見るとなお良し。「スペース・ドッグス」もう三回くらい見たわ~。これの話もまた後日いたします。
まずは明日のSF大会ですね……。ヤナ・アシマリナさんは無事日本に到着しました。ああ……ただでさえ人前に出るのがニガテなのに、ヨソの国から人が来るなんて悪夢のようだ……なんでこんなことしちゃったんだぢぶん。可能な限り頑張りますので、いらっしゃる皆様、どうかよろしくお願いいたします……
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