Strange Fiction
SFマガジン増刊号のStrange Fictionをやっと買ってきました。もう出ていたのに気づいてなかった……orz
「急ごしらえっぽい」「読んだけどたいしたことない」「イマイチ」などという話ばかり聞くので、何故この面子なのに?とハラハラしつつ買いに行きましたが……
なるほどね。
まだ小説の部分は全部読んでなけど、何故「あかん」と言われるのかちょっと分かった。
正直、後ろについてるブックガイドの文章が、どれもこれも「才気走った若書き」なのですよね。私より年上の評者もいるけど、良くも悪くも若者っぽいことを書いてないでしょうか。
それで何が悪いのかって? 考えてもみておくんなさい。めっちゃ頭はいいけどまだ学生という若者が読む『巨匠とマルガリータ』と、たくさんの書も読んできたし自分自身の人生にもいろいろあった中高年読書人の読む『巨匠とマルガリータ』が同じであるわけがない。それは前者が読む『斜陽』と後者が読む『斜陽』の違いよりも、よりいっそう乖離しているはず。
ここに書いている若い書評家たちの全員が、多分、私よりたくさんの小説を読んでいると思う。気概もある。若手に執筆の場を与えようという編集側の意図も理解できる。でも。
こういう、はっきりしたくくりのない「ジャンル」、想像力こそが要である小説群を紹介するのなら、人口甘味料のバニラアイスでも嬉しい「若いもん」より、クワイとか天然もののじゃこを噛みしめることを覚えたおっさん、おばはんの言葉を頼りにしたほうがよくないだろうか。
若者にはまた別な活躍のフィールドがあるはず。そっちこっちでこてんぱんにやられて、てめえ自身に味が出てからこういう仕事をしたほうが面白いんじゃないでしょうかねえ。とはいえ、今回はまず第一に人選をした編集側の失敗があったと思いますが。
いかにもおブンガクっぽくないブックガイドにしたい、と編集側は思ったのかもしれない。でも、だったら最初から「想像力の文学」なんてたいそうな名乗りをあげちゃイカンよ。なんか、ここで取り上げられた作家は誰も彼もが軽っちい「お話つくりのヒト」に見えちゃって、魅力的に感じられないではないか。特に私が好きな作家、評価してる作家についてあんな記述だったりこんな記述だったりするのを読むとけっこうムカつく。私自身に関する記述については、こういう評があってもいいでしょう、別に非難はしない、というところです。あの人とかこの人とかに担当されなくてヨカッタ、と(笑)。
多くの人が語る「いまいち」「期待したけどなんだかなあ」の正体はこれじゃないかと思う。載ってた小説が良くなかったとかじゃなくて。
これから「想像力の文学」叢書で真に「いいもの」をコツコツと出し続けて挽回してもらいたいもんです。
あ、そうそう、私個人としては、「想像力の文学」なんていうタイトルをひねり出すより、「ファンタスチカ」という言葉を日本に定着させて欲しいですね。この叢書とJコレと両方合わせて「ファンタスチカ」一語で足りるんだし。もっとも、「ファンタスチカ」と銘打っといてこのブックガイドたったら、今の5000倍くらい怒るけど。
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