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2008年12月12日 (金)

ボリショイのドン・キホーテ

頂きもののチケットでボリショイ・バレエの「ドン・キホーテ」を見に行く。舞台、コンサート系は正直、日記を書くのがメンドウなので(<ヲイ)最近全然書いてなかったけど、これは今年見た舞台でマックス気に入ったので頑張って書きます。ポチョムキンはHDD入れ替えてから書きます。画像をいじるとパソ様がむくれるので。

ザハロワがリハーサル中の負傷で出られなくなり、彼女とそのパートナーのウヴァーロフに代わり、若手のオーシポワとワシリエフがキトリとバジルを演じる。 最初に芸術監督ラトマンスキーが出てきて主役交代のアナウンスとご挨拶が。おおおラトマンスキー、いつの間にか渋いおじさまになっちゃいましたね。相変わらずスマートだけど。

ドンキの最大の欠点は、なんつっても話がワケ分んないこと。ストーリーが頭に入ってる人、あるいは他の作品でバレエの見かたを鍛えられてるバレエ好きにはどうということはないけど、初めて見た人は分るわけないっす。複雑化の元凶はモスクワ→ペテルブルク→モスクワと再演・改訂を重ねるうちにいろいろ付け加わったりあれこれいじっちゃったことと、なんつっても「キトリ=ドゥルシネア姫」というドン・キホーテの脳内事実。この脳内事実系はどうしたってバレエじゃ説明できないし、もう「そういうもの」とみんな了解してるという前提でしか上演できないのよねえ。でもその前提を実は万人が分ってるわけじゃない。冒頭でドゥルシネア姫の幻影を見るシーンを入れて説明するヴァージョンとかもあるけど、説明調になっちゃうわりに効果は薄くて(リクツっぽさと妄想っぽさを何も始まらないうちにいっぺんに出しちゃうので、いかにも「これはツクリモノの舞台ですよ」っていってる感じになっちゃう)、好きじゃないのよね。

しかもドンキはそれだけじゃなくて、話が入れ子式になってたり、一人二役があったり、唐突に妖精の女王が出てきたり、幻覚や夢を見たり。これじゃわけわかめなのも当然でございましょう。

というわけで、10年ほど前からボリショイがやってるファジェーチェフ改訂版は、その分りにくいストーリーを分りやすく、初心者にも理解できるようにというのがまず第一の趣旨であると見た。

ファジェーチェフ改訂版では、ドン・キホーテの「キトリ=ドゥルシネア姫」の脳内事実をかなり薄めた上、キトリとバジルの狂言自殺までを前半で一気にやっちゃうのだ。そこでドン・キホーテは「この件は一件落着した。さあ旅を続けよう」と外に出て行って、森の中で旅芝居一座の劇を見て、また頭が「あっち側の世界」に行っちゃって、風車に突入、気絶している間にドゥルシネア姫の夢を見る。

で、領主に助けられて城に招かれ、キトリたちの話を聞いた領主は二人の結婚式を城で挙げさせる、ドン・キホーテとサンチョ・パンサは祝宴を後にしてまた旅を続けるのであった……という構成。

ヘンという人もいるけど、私はこのファジェーチェフ版は全面賛成ですね。3年前にペテルブルクで見たマリインスキーのは、もうほんとーにルーチンワーク化しちゃってて悲しかった。マリインスキーは何故か、改訂や新作に手腕を発揮する指導者が出ないのよねえ。ボリショイはソ連崩壊後に「次世代のスター」がごっそり抜けちゃって、どうなるのかと心配したけど、意外と振り付け・演出方面で新しいことをやる人が育ってて、今はマリインスキーよりはるかに活気があるんじゃないだろうか。

あの泥臭さ(笑)もだいぶ洗練されたけど、骨太な味わいが失われていないところもいいですね。今日の主役二人も、第三幕のパ・ド・ドゥなんかはまだコンクール臭さが抜けきらない感じではありますが、非常にコンビネーションが良く、瑞々しいペア。二人とも空中に留まるようなジュテをする跳躍系のダンサーのようです。オーシポワはジゼルもキトリも踊れるタイプかも。

ロシアのバレエ団はフランスのそれよりキャラクテールが充実しているので、そういうところも好き。ガマーシュはよくあるガサツなボンクラではなく、田舎のなんちゃってノーブルな人。バジルが意外とキトリ以外の女の子にも目移りするのに対して、ガマーシュは女性はキトリにしか反応しないのよね。で、あとは「オレって優雅でカッコよくてサイコー」と思ってる(笑)。あとワラタのは、ドン・キホーテとサンチョ・パンサが「キン・ザ・ザ」だ(笑)! いつ「ぺしぺし、クー!」ってするかと思うと(笑)。

どちらかというとマリインスキー贔屓だったけど、今はちょっとボリショイのほうにキモチが傾いてます。ゲルギーの「効率がよくて儲かるシステム」の追求にそもそもバレエというものが馴染まないせいもあると思うけど、マリインスキー、まじで何とかして欲しい。がんばれマリインスキー。って、結局マリインスキーを応援するのか(笑)。

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