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2007年12月21日 (金)

ソクーロフの『牡牛座』

いや~、昨日は自民党の平沢勝栄センセイが木曜スペシャルに出て、ぜーーーーんぜん証明されてない「予言」にものすごーーーく感心しちゃってましたね。脱力させていただきました。さすがモクスペ。月をなめてるのは民主党だけではないわけで。で、そんな番組を見ていたお前は何なのかって? い、いやその、ただ見てただけです。見てただけですってば(汗)。

まあそれはともかく。

先日、やっとソクーロフの『牡牛座』の試写に行ってきました。来年2月2日からパンドラの配給によってユーロスペースで公開予定。様々なオトナの事情(いやこれは政治的理由とかじゃなくて、主に上映権料の問題)で日本公開に時間がかかったけど、ようやく実現。2001年の作品なので、7年かかったことになりますにゃ。パンドラの代表取締役、中野理恵さんの粘り勝ち。こういう志のある配給会社がないとやっぱりダメっすね。映画に限らず、本とか音楽もそうだけど、作り手が「たとえ売れなくても良質のものさえ作っていればいい」みたいに思ってるだけじゃダメで、商売と志のバランスをとりながら作品を売り出してくれる出版社や配給会社がないと。

権力についての四部作のうちの第二作で、1922年、最初の脳梗塞発作に倒れた後、ゴーリキー市の別荘で療養するレーニンのとある一日を描いた映画。そこに訪ねてくるのはスターリン……

色調から構図、ストーリーの流れ、セリフの入るタイミング、エンドクレジットの音楽に至るまで、何もかもがめいっぱいソクーロフソクーロフした映画。カンヌに招聘されたのも、でもパルム・ドールを逃したのも当然かもしれない映画。すでによく知れ渡った独自の作風を持っているからこそ、もう一声何かないと、自分自身に負けるような形で賞に届かない、という気がしないでもないです。まあそうでなくとも、セレブだの評論家だのマスコミだのがわらわらと集まってきて、妙にマンセーでお祭りな映画祭という場で上映してそのよさが味わえる作品ではないよなあ。そういう場とはかけ離れた何処か──レイトショーとか、平日のミニシアターとか──で見るべき映画。DVDで見てしまうという手もあるけど、でもやっぱり、これはスクリーンで見たほうがいいすよ。大きい画面で見ると、ソクーロフの映像世界に包み込まれてゆくような感じ。ストライクゾーンど真ん中のいかにもソクーロフな映画が見たい!という向きには、他のどの作品よりオススメかもです。

でも実は『牡牛座』の前(1月19日~2月1日)には、同じくユーロスペースでソクーロフの映画14本(!)が見られてしまうのだそうだ。むむう、何と恐ろしい。『エルミタージュ幻想』もスクリーンで見られてしまうのね。でもあれ、体力がある時に気合入れて見ないとすげー疲れます(笑)。でもこれを逃したら次はいつスクリーンで見られるのやら。消耗覚悟で行くしかないな……

ワタクシはこの『牡牛座』のパンフに一筆書きますです。2001年に、ソクーロフに直接してみたある質問と、その答えについて。ソクーロフ関係ではまだ何処にも出ていないネタです。

あ、そうそう、ちなみに、権力についての四部作っていうのは、第一作がヒトラーを描いた『モレク神』、第三作が例の『太陽』。で、第四作は、特に誰か特定の個人をテーマにしたものではなくて、『ファウスト』をフィーチャーした作品になるらしい。来年にはクランク・インの予定とか。まあソクーロフなら来年と言ったら本当に来年にはやるでしょう。え? 権力についての四部作だったら第四作はプ……あ、いえ、何でもないです! 何でもないですってば(汗)!

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