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2021年6月23日 (水)

コロナワクチン大規模接種センター東京会場

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需要はないかもしれないけど、コロナワクチン大模接種センター東京会場の様子をちょっと書いてみました。豊島区は64歳以下への接種券配布が比較的早かったので、大規模接種センターを選びました。ものすごい勢いで進むので、細部の記憶は曖昧です。

 

まず地下鉄大手町駅の一番神保町寄りの出口から出て真っすぐ行くと、すぐ会場。入り口は四つある。私は会場Bで予約したので、Bの窓口があるのかと思ったらそんなこともなく、番号か1から4までふってある。私は一応2に行ったけど、これってどうやらどこでもいいらしい。指定時間より数分速かったが、何時からの予約かは聞かれなかった。スマホ、写真撮影禁止の表示あり。もっとも、写真なんて撮ってる暇はないことがこの後明らかになるのであった。

 

確かこのへんで体温を測る。やたら低く出るので、びみょーな微熱の人とか通過しちゃうかもだ。

 

とりあえず受付で接種券と問診票と身分証明書を出す。身分証明書を返却され、ここで接種券、問診票、検温結果の紙をクリアファイルに入れて渡される。1が赤、2が青、3が黄色、4が緑(3と4は逆かも)。それぞれの色のファイルと同じ動線で動くことになる。あ、あと、写真の通りのワクチン接種のしおりを渡される。でも読んでる暇なんかないw

 

ちょっと行くと、それぞれの色の動線上にに、問診票をすでに記入した人と、未記入の人の振り分けがある。私は記入済みの方に行く。するとそこに人がいて、記入内容の確認がある。記入漏れがなければ先へ。

 

色分けされた床の上にパイプ椅子が縦に並んでいる。ここに座って待つ。人数が8人だったかたまると、立ってそのグループはエレベーターで上階へ。このへんで、なんかもう、急にUFOに乗ることになったロイ・ニアリーの気分になるww 世代ネタww エレベーターの中ではみんな壁に向かって立つよう指示される。

 

エレベーターを出ると、そのグループは一列になって歩き、問診へ。係の人が空いたところを常にチェックしていて「何番へ行ってください」とか指示されるので、池袋ジュンク堂のレジよりスムース。利き腕じゃない方に接種いた方がいいので、左利きとか特殊事情(透析用のシャントが左腕に形成されているとか)がないかどうか確認される。

 

問診票を見ながら問題がないかどうか確認し、終わった人からどんどん次の部屋へ。そこも待機用のパイプ椅子が間隔を空けて並んでいるが、座っている人はほぼいない。私は11番のブースを指示されて、その前にある椅子に座るが、前の人がすぐに出てきて、もう座ったとたん自分の番に。そこで左腕注射でいいかどうか再確認されて、アルコール消毒は大丈夫かどうか聞かれ、注射。本当に筋注?と思うくらい痛くない(この時はね)。

 

終わったら腕に丸い絆創膏(病院通いで採血に慣れている人にはおなじみのアレ)を張られておしまい。ブースを出る時、退去していい時間の書かれた紙を渡される。

 

どんどん流れ作業でまた8人集まったらエレベーターで階下へ。ここのあたりから色のグループ分けはなくなる。一階に戻ったら、二回目の予約の部屋へ。ここでもブースの前にパイプ椅子が縦に7、8客並んでいるが、二人以上待っているところはない。私も、今受付してる人の後ろの椅子に座る。2、3分で私の番が来て、紙のカレンダーを前に希望の日時を調整。私は病院の予約の日以外はいつでもいいので、平日にする。日曜日はまだ空いていたけど、それは平日に来られない人のためにあけておいた方がいいかと思って。係の人はタブレットで入力。紙のカレンダーは、予約が埋まっているところは斜線がひいてあったのだが、七月末までかなり埋まっているようだ。

 

ファイルはこの予約の時点で返却。退去していい時間になるまでの待機部屋へ移動。ここも間隔をあけてパイプ椅子が並んでいるが、次から次へと人が帰ってゆくので、常に半分くらいしか埋まってない感じ。この部屋には自販機があって、お茶とか飲みたい人は買えるようになっている。

 

ここでもらった紙とかを整理しているうちに時間が来る。別に体調に変異とか全然ないし、お手洗いも必要なかったので、そのまま帰る。ここまでで、入ってから30分弱。

 

どこにも関係者がたくさんいて、常に誘導されている状態なので、迷うことはないというより、迷いようがない。このシステムを構築して稼働させている自衛隊、ほんとすごい。

 

接種後三時間くらいで接種部位が筋肉痛になってくる。翌朝はもっとひどくなっているが、午後になるとすこーしマシになった感じ。発熱はナシ。

 

二回目の接種の時は新刊ももう出ているので(『まぜるな危険』早川書房。ヨロシク)、帰りにoazoに行って自分の本を激励してきます。

 

余談:帰りに将門さまの首塚に寄ったら、清澄な中にも荘厳な、石造りの和モダンっぽい立派な場所になっていました。大規模接種センター東京会場においでの際は、是非、お立ち寄りください。

2021年2月27日 (土)

桜の園のリディヤ

SFマガジン2021年4月号(2月25日発売)に、高野史緒&佐々木淳子の短編「桜の園のリディヤ」が掲載されました!



これは 2019年に埼玉で行われた第58回日本SF大会での一企画、佐々木淳子さまと私の対談企画の時、書くと約束した、「佐々木作品とある名作のリミックス」の成果でございます。

佐々木淳子さまの最初期の名作「リディアの住む時に……」と、チェーホフの代表作『桜の園』のリミックスです。実は対談をしている最中にもうすでにこの両者を混ぜることを考えていました。多分うまくいく、と。果せるかな、登場人物が予想以上に噛み合い、非常にスムースにリミックスできました。長編の執筆等があったので実際の執筆は2020年の夏になりましたが。

登場人物は、最年少のリディヤ(←ロシア語読み)以外は全員、『桜の園』の登場人物で、年齢もほとんど動かしていません。物理学の論文と最後の時空の不安定がどうのこうのというあたりは私のオリジナルですが、ストーリーの骨子はまんま「リディアの住む時に……」です。

そして、豪華なことに、扉絵は佐々木さまのオリジナル描き下ろしです! 上の写真はその一部。実物は是非、本誌を手に取ってご覧ください! ていうか、是非お買い上げを~。損はさせません。

2019年のSF大会の企画では、四十数年前に小学生だった私が佐々木さまにファンレターを描いた時にいただいた直筆イラスト入りのお返事の葉書を公開しましたが、佐々木さまによると、ファンレターも最初の数枚には手書きイラストで返事を出したことがあったということで、「リデセィア」の時点でのファンレターとなると、もしかしたら私が最初のファンレターだった可能性もあるとのことでした。今回の企画はそんな私からしたらもうまさに感無量の一言に尽きます。

佐々木さまのファンの皆様にもお楽しみいただければ幸いです。

2020年10月18日 (日)

『翼竜館の宝石商人』文庫と、百合AI短編「二つと十億のアラベスク」

Microsoft Edgeで編集しようとしたら、このブラウザではコピペができないとココログに言われ、Firefoxでヘン私有しようとしたら同じことを言われ、IEを立ち上げてます。ココログ! お前はまだ2020年代におらんのか!

気を取り直して、告知を二つお届けいたします。

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まずは、『翼竜館の宝石商人』が文庫になりました。2018年にApple Japanが選ぶベストミステリに選出された作品。17世紀、洪水とペストの恐怖が迫るアムステルダムで、一人の宝石商人がペストらしき病で死ぬ。しかし数日後、彼は二重密室の中で、意識不明の状態で発見される。「生前」の証人が残した謎のメッセージ。姿を消した正体不明のペスト医師……。果たして彼は死んだのか? どうやって生き返ったのか……。超絶ミステリマニアの編集者に「このトリックは見たことがない」と言わしめた一品です。お楽しみいただけば幸いです。

文庫版解説は日下三蔵さんです。ネタバレはないので、解説を読んでから本編をお読みいただいても大丈夫です。

『翼竜館の宝石商人』(文庫)

 

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『翼竜館』の文庫とほぼ同時に、Kindleで短編が一つ発売になりました。以下、小品ページからコピペ。

近未来、AI技術は高度に発達し、人々は単純労働から解放されて「創造的な活動」に携わっている。国立音楽院ピアノ科の浅田唯(17歳)も、音楽の才能の開花だけに専念できる、悩みのない日々のはずだった。が、唯には一つだけ変わった悩みがある。それは芸術上の大問題なのか、それともつまらない「ヒマつぶし」なのか。唯は何とかしてAIインターフェイスの壁を突破して人間の行政機関に接触しようと試みる。そんな中で出会ったのは、清楚な女子高生風の上級インターフェイス「高瀬」だった。唯は高瀬と対峙するが……。

こちらはU-NEXTのオリジナルコンテンツとして書き下ろしたもので、ちょっと切なく、ちょっと百合なAISFです。最近SF周りは百合作品が多いので時流に乗っかった感はありますが、構想自体は10年ほど前からあり、百合トレンドができたからこそ発表に踏み切った作品です。私自身にも百合的な要素はあり、また、いろんな意味で「結ばれるはずのない二人」が「結ばれる」にはどうしたらいいんだろうということもわりと考えてしまう方なので、その「結ばれないものが結ばれる」ということの一つの形を追求してみました。

「二つと十億のアラベスク」

両方とももすでに販売は開始されています。ちよっとペストネタはアレですが(汗)、どちらも引きこもり娯楽のお供として楽しんでいただければ幸いです。

2020年7月13日 (月)

デビュー25周年と『日本SFの臨界点』

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……というわけで、私、高野史緒は、明日でデビュー25周年となりました。長かったようで短く、短かったようで長いこの四半世紀、命を長らえてきたのも、ひとえに読者の皆様と、支えて下さる出版関係者の皆様のおかげです。本当にありがとうございます。これからもデビュー当時の初心を忘れないよう、よりよい作品をお届けできるよう、精進してまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。

という記念の節目に、ちょうど、こういうアンソロジーが出ます。伴名練さんの編纂による『日本SFの臨界点』の恋愛篇と怪奇篇。恋愛篇のほうに、私の古い短篇「G線上のアリア」が収録されています。これは『カント・アンジェリコ』の番外編としてSFマガジンの1997年2月号に掲載されたもの。『カント・アンジェリコ』と合わせてお読みいただければよりいっそう楽しめるかと思います。

今回のアンソロジー、レアな傑作ぞろいなのも読みどころですが(そこに含めていただけたのは光栄の至り以外の何物でもありません)、伴名さんによる解説と読書ガイドがまたスゴイのです。各作家にレア情報を盛り込んだ、今までどこでも読んだことのないような解説がついていて、もうそれだけでも「買い」。私についての解説でも、今までどこでも言及されていなかった九ハヤカワSFコンテストのことが盛り込まれていたので、ゲラが回ってきて気絶しそうになりました(笑)。私のデビュー前のことについてはこれまでも質問されることが多かったので、今回これを機に、それについても掲載していただくことにしました。いやあでもなんか恥ずかしいっすね(笑)。

それにしても、伴名さんの読書量と情報整理力がスゴイ。彼のあの洞察力と語彙力は、こうした時代、範囲共に広範な読書に基盤があるのがよく分かります。小説もスゴイけど、その他のいろいろもスゴイ人。日本SF界はスゴイ人材を得たんだなあと改めて感服しました。

で、私の今後ですが、今出版待ちの長編が一つ、執筆中の長編が一つあります。今月末には、あるところでAI短編を一つ発表しますが、これについてはまたのちほどお知らせします。相変わらず遅筆ですが、どうかお見捨てなくお付き合いくださればありがたく存じます。

2020年6月12日 (金)

1988年 第二回青山円形劇場脚本コンクール

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信じがたいことに、高野史緒は来月でデビュー25周年を迎える。自分にしてはよくやったと言うべきか、こんなものじゃ全然だめだと言うべきか……。何にしても、ちょっと過去を振り返っている。その作業中に、こんなものを発掘。

1988年の第二回青山円形劇場脚本コンクールの結果発表。「ぴあ」(懐!)に掲載されたもの。私は「高野史緒」名義を使う前の、「高野愁星」名義。なんでこのペンネームを使っていたのかというと、当時、80年代はまだ女性の作家が「女流作家」などと言われて、出版社が売り出す時、女らしさや「女性ならではの感性」を「売り」にされがちだったので、なんかそういうのに抵抗があって、男女どっちだか分からない、少なくとも「女らしさ」的なものを売りにしないペンネームを使いたかったから。

佳作受賞は
北野茨(37歳・高校教員) 「キューソネコカミ ねこひげたてる」
友澤晃(26歳) 「Pierro?」 のちの友澤晃一
高野愁星(21歳・大学生) 「エレヴァシオン」 のちの高野史緒
石川耕士(35歳・ちかまつ芝居主宰) 「春や春 春近松の浪漫す」

青山円形劇場脚本コンクールは、今はなき青山円形劇場(青山のこどもの城に併設されていた劇場。Wikiの記事はこちら)が行った脚本コンクールで、何回まで行われたのはちょっと資料がなくて分からない。この第二回の1988年は優秀作は出なかった年。私以外の三氏、北野茨、友澤晃(のちの友澤晃一)、石川耕士の三氏は、この後演劇や映画のジャンルで活躍。私だけが演劇とは縁のない人生になってしまったが、少なくともこの賞に泥は塗らなかったと思っている。

ちなみにこの時の「エレヴァシオン」は、のちの『ヴァスラフ』(中央公論社、1998年)になっている。

今考えるとかなり歩留まりの良かった第二回青山円形劇場脚本コンクールの情報ががネット上にほとんどないので上げてみました。関心のある方の参考になれば何よりです。

2020年2月29日 (土)

幻想と怪奇 1 ヴィクトリアン・ワンダーランド英國奇想博覧會

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新紀元社の『幻想と怪奇 1 ヴィクトリアン・ワンダーランド英國奇想博覧會』が発売になりました。私はショートショート「アイリーンの肖像」を寄稿しております。

以下、新紀元社のサイトからコピペ

海外幻想文学の翻訳・紹介を先導した紀田順一郎・荒俣宏による『幻想と怪奇』(1973~74)。日本初の幻想文学専門誌が、休刊から45年を経てここに復活する。
 第一号のテーマは「ヴィクトリアン・ワンダーランド英國奇想博覧會」。
技術や交通が大きな変革を迎え、文化がいっせいに花開いた19世紀後半のイギリスで、自由な想像力をペンに乗せて競った文豪たちや流行作家たちの奇想あふれる小説と、
かの時代に夢を馳せる現代作家たちの作品をともに収録した、物語の博覧会にようこそ。

 

目次

新創刊の辞 紀田順一郎・荒俣宏

A Map of Nowhere『吸血鬼ドラキュラ』のウィトビー 藤原ヨウコウ

 《序文》ヴィクトリアン・インフィニティ 北原尚彦

●巨匠たちの奇想と怪異
失踪クラブ アーサー・マッケン 植草昌実 訳
奇妙な写真 リチャード・マーシュ 高澤真弓 訳
決闘者 ブラム・ストーカー 圷 香織 訳
ポロックとポロ団の男(新訳) H・G・ウェルズ 中村 融 訳

●ディケンズの『幽霊屋敷』
幽霊屋敷の人々 チャールズ・ディケンズ 谷 泰子 訳 
食器棚の部屋 ウィルキー・コリンズ 髙橋まり子 訳
 《エッセイ》『個』を持つ部屋 木犀あこ

●レ・ファニュの幻妖世界
トム・チャフの見た幻 J・シェリダン・レ・ファニュ 山田 蘭 訳
ドラムガニョールの白い猫(新訳) J・シェリダン・レ・ファニュ 青木悦子 訳
教会墓地の櫟(模作) オーガスト・ダーレス 夏来健次 訳
 《エッセイ》レ・ファニュを偏愛す 三津田信三

●世紀末ロンドン幻視行
下宿人(オリジナル版) ベロック・ローンズ 岩田佳代子 訳
ジキル博士とハイド氏、その後 キム・ニューマン 植草昌実 訳
贖罪物の奇妙な事件 リサ・タトル 金井真弓 訳

〈ショートショート〉
アイリーンの肖像 高野史緒
霧先案内人 井上雅彦

〈特別企画〉
鼎談:回想の『リトル・ウィアード』 荒俣宏・島村義正・竹上昭
資料:『リトル・ウィアード』総目次

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 『幻想と怪奇』新創刊によせて 牧原勝志

 

拙作、何の解説もなく載ってるので、ちょっとここでネタ元あかしをしますと、この画家ホールウォードは、オスカー・ワイルドの……まて言ったら分かりますよね。そうです。その人がネタ元でございます。

目次を見ただけでヤバいですが、実際、読み始めるとその内容の濃さ、チョイスに驚きます。ちょっとお高いけど、これは「買い」ですよ! 欲を言えばもうちょっとしっかり校正して欲しかった……。次号以降にも期待しております。

2019年12月28日 (土)

SFマガジン60周年記念号 「本の泉 泉の本」

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SFマガジン、還暦ですって! どうりでわしらが年を取るはずじゃ!

というわけで、早川書房のSFマガジン、通巻737号、2020年2月号は、60周年記念号と相成りました。この表紙、「あれ、なんか見たことある……」と思われた方は相当SFマガジン買ってるよね……。イラストを描かれた加藤直之さんによると、過去のSFMの印象的だった表紙のモチーフを取り入れてるのだそうです。

で、私も今回、久しぶりに短編で登場させていただきました。「本の泉 泉の本」という、原稿用紙で45枚くらいかな、小ぶりな作品です。編集でつけてくれたキャッチコピーがまたステキで。「四郎と敬彦は、今日も古書をあさる。これは、ただぞれだけの、夢のような短編」。イラストは、『カント・アンジェリコ』の文庫版や『ヴェネツィアの恋人』にステキな表紙を描いて下さった佳嶋さん。ほんとにちょっとした短編なのですが、これ以上ないスゴイ布陣で世に出させていただきました。

で、この二人しか出てこない登場人物の「四郎」と「敬彦(たかひこ)」ですが、大方の読書子の読み通り、元ネタはあの人とあの人ですw まあ、二人ともちよっとずついろんな人のアマルガムではあるのですが、メインのネタはそうですよ、名前に数字がついて庭にプレハブ書庫が三つあるあの人と、その人が本を買うところを眺めていることが多い「彦」がつく人w ちなみに四郎さんは、私が2017年に小説現代に書いた短編「ハンノキのある島で」で言及された四郎さんです。「ハンノキ」の何年か前のお話。「ハンノキ」は今、日本文藝家協会編『短篇ベストコレクション 現代の小説2018』で読むことができます。

実はこの「本の泉」は、今年の11月初旬に急に「降りて」きて、二週間弱で書き上げ、以前から何か短篇があったら送るようなことをうっすらと約束していた塩澤編集長に送ったところ、急遽「60周年記念号に載せましょう!」と言っていただき、かなり頑張ってページのやりくりをしていただいたようで、掲載確定がいつだったかなあ、もう12月になるよ、っていう頃でした。着想から掲載決定まで三週間あるかないか。これは遅筆な私からするともう光速超えた感じの速さでした。

で、ゲラをやっているうちに、星敬さんが12月2日に亡くなったという知らせがあって……。塩澤さんと相談して、「彦」のつく登場人物の方の名前に「敬」を入れたという次第です。

おそらく人類史上最も長くSFMにかかわって来たであろう星敬さん……。私とは、SF作家クラブの会合やパーティなどでお会いするたび病気の話で盛り上がる(?)病人仲間でした。でもまさかそんなにお加減が悪いとは知りませんでした。塩澤さんとも話したのですが、「本の泉」、図らずも星さんのレクイエムみたいな話。そうでなくても、SFMで塩澤さんが書いている通り、今年はSFMにかかわった多くの方が亡くなった、ただ亡くなっただけではなくなんか急逝だったような方が多くて……。もしかしたら塩澤さんも私も、何かに呼ばれたのかなあ、などと考えたりします。

という背景があるわけですが、元ネタの人たちを知っている方からも知らない方からもご高評をいただいておりまして、ありがたい限りです。ささやかな一編ではありますが、本と小説とSFマガジンを愛する全ての方に、この作品を捧げたいと思ったております。

良いお年をお迎えください。

2019年12月 7日 (土)

大天使はミモザの香り

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報告が遅くなりましたが、新刊『大天使はミモザの香り』(講談社)発売になりました。

何故ブログでの報告が遅くなったかというと、『本』に書いたエッセイがwebに転載になるのを待ってたからなんですが、なんか時間がかかりそうなので、こっちにコピペします。

念願のアマチュア・オーケストラの話です。私はアマチュアの演奏団体は部活のフルートと合唱で計15年ほどですが(甲状腺が暴れたりして事実上引退)、その経験と愛情と憧れと夢をこめて書いております。

下記に、「本」のエッセイを転載します。

 

二十年来の夢ついに! オーケストラ・ミステリ! 

 デビューから五年ほど経った頃、『ウィーン薔薇の騎士物語』というシリーズを書いたことがある。十九世紀末ウィーンのオーケストラを舞台に、音楽家志望の家出少年や皇帝の私生児、ヴァンパイアの一族かもしれない美少年たちがさまざまな事件に遭遇しながらその謎を解いてゆくジュヴナイル・ミステリだ。これはテーマがマイナーなためもあってそんなにものすごく売れたというわけにはいかなかったが、ありがたいことに、ファンの方々にはとても熱心に支持していただいた。今でも続編をと言われることがあるし、時には、高野史緒の作品の中ではあれが一番だったのに惜しまれることさえある。私の作風からすると本筋ではないジュヴナイルだということを考えれば不本意と見ることもできるが、しかし同時に、やりたいことを素直にやった作品に対しての言葉という意味ではありがたいのだった。

続編のことは考えたことがないわけではない。別な出版社からもお誘いはあった。しかしこの頃すでに、私の中にはもう一つ、どうしてもやってみたい別な夢が生まれていたのだった。日本のアマチュア・オーケストラが舞台のミステリだ。

 それから実に二十年もの歳月が流れてしまったのだが、私自身もその分経験を積み、満を持してその計画を実行することとなった。それがこの『大天使はミモザの香り』なのである。

 アマチュア・オーケストラというものは世界中にあるが、どうやら日本はその中でも際立ってアマオケ文化が発達している国らしい。団体の数は東京近郊だけでも百を超え、学生オケや吹奏楽団、臨時編成オケ、古楽やオペラを専門にする団体、小規模なアンサンブルまで含めたら、日本全国には四桁に達する団体があっても不思議ではない。どういう統計か知らないが、一説には、日本人の二十五人に一人は吹奏楽の経験者なのだという。とすれば、オーケストラの経験者も実はけっこうな数に上るのではないかと思う。

 特に上手い団体の中には藤倉大やジョン・C・アダムズ等、プロにもなかなか演奏困難な現代音楽作品をこなしてしまうところもある。そして何より、初心者歓迎のところから玄人はだしのところまで、どの団体も演奏が実に楽しそうだ。プロオケの演奏が熟練した名演を目指すものだとすれば、アマオケの演奏は音楽が生まれいずる瞬間の喜びを感じさせてくれるものだと言えるだろう。

私は思うのだ。百年に一人の大天才を輩出するけれどそれ以外の人たちはアマチュア楽士でさえない社会と、百人に一人はアマチュア楽士で日々どこかで演奏会がある社会とでは、後者のほうがはるかに豊かであると。百人に一人というと一見少ないようにも見えるが、人口一万人の街に百人編成のアマオケがある勘定になる。とすると、東京みたいな人口一千万都市では……? いやいや、それはさすがに多すぎでしょ。しかし、そんな想像をしただけで何だか嬉しくなってくるのは、きっと私ばかりではないはずだ。

 私自身は声楽の人間で、器楽には憧れがある。特にオーケストラには、フルートを数年で挫折してしまったこともあって、もう妬みと言ってもいいくらいの強い強い羨ましさがある。それは実現しないだけに癒されることもない憧れだが、それに最大限近づく方法は私の場合、やはり小説なのだ。小説という手段さえあれば、私は客席を抜け出してオーケストラの一員になれる。

オーケストラには楽器の数だけ個性があり、ドラマがある。クラシックのように何百年も演奏されてきた曲には(いやショスタコーヴィチなんかだとまだ百年にならないけど)、その歳月の分だけアイディアの種がある。そこに、まだ誰もやったことがないんじゃないかというトリックを持ち込んで、これまた是非一度はやってみたかったあれとかこれとかを好きなだけやり、『ミモザ……』はことのほか愛着のある一冊に仕上がった。

 とはいえ、私自身も今回の作品でその広大無辺な宇宙たるオーケストラを描き切ったわけではない。ごく一部のパートの、小さなドラマをどうにか切り取ったに過ぎない。今後またチャンスがあるのなら、これからもまた、やりたくてたまらなかったあれこれをオーケストラで奏でてみたい。

2019年9月21日 (土)

「プシホロギーチェスキー・テスト」 in 「小説現代」乱歩賞特集

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現在、リニューアル前の休刊中で季刊化している「小説現代」ですが、秋の乱歩賞特集が出ました。第65回乱歩賞までの全記録、全作品レビューや、受賞者たちの乱歩ネタ短編など盛りだくさんです。私の「プシホロギーチェスキー・テスト」掲載。もうね、タイトルからしてああ、アレかって感じですが、ええ、ソレですw お楽しみいただければ幸いです。

2019年8月29日 (木)

NOVA2019年秋号と『おうむの夢と操り人形』

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Novaについてはご報告が遅れた形になっちゃってすみません。8月、河出書房新社のNOVA 2019年秋号と、東京創元社の年刊日本SF傑作選 おうむの夢と操り人形が刊行されました。

NOVAの収録作家は草野原々、高野史緒、高山羽根子、田中啓文、谷山浩子、津原泰水、トキオ・アマサワ、藤井太洋、麦原遼。私の作品は、小説の禁則をいくつも破った「浜辺の歌」です。

『おうむの操り人形』の収録作家は円城塔、斉藤直子、坂永雄一、三方行成、柴田勝家、高野史緒、田中啓文、飛浩隆、西崎憲、長谷敏司、藤井太洋、古橋秀之、日高トモキチ、水見稜、宮内悠介、宮部みゆき、肋骨凹介、道満晴明、アマサワトキオ。私の作品は、去年Kindle Singleで出版した「グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行」です。

どちらも、いずれ劣らぬ才能の中にカウントしていただけで感謝の至りです。NOVAはオール描き下ろし、『おうむの夢』は2018年度のベスト選集で、性質の違うアンソロジーですが、両方とも収録作家全員の個性が輝いていて、日本のSF畑の豊饒さを実感します。

 

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